第13話 事件
私が彼らの奇行にドン引きしていると泡吹いて倒れた人が部屋に入ってきた。
「あー、一気に酔いが覚めた気分だわー。んで、ババアから聞いてるけどアンタマジで厄災らしいじゃん。そこでだ、人類存続のため我々に協力して欲しい。」
「お断りします。ロマンがない。人類が滅ぼうがロマンは残りますし興味もありません。」
「一応、アイツ人間だよな?獣人の俺とか、エルフの双子とか、半魔族とか、うちには純粋な人間居ないから滅ぼうが何とも思わんがやつは違うだろ…。」
「一種の虫が絶滅しようと貴方達は気にしないでしょ?それと同じ事です。私は種族と言う括りに興味はありません。私が欲しいのは金や名誉では無くロマン、もしその道を邪魔するのであれば排除するのみです。」
誰が見ても到底嘘を言っているようには見えなかった。
事実、グレースは誰が死に誰が生きようがそんな物は微塵も興味がなかった。流石にリアル神の悪戯で殺された事は不満であったが彼女は自分の命にも執着していない。
「はぁー、やっぱそうなるか。Sランク相当はなんでこう、協調性が無いかねぇ。」
明らかに落胆している男は懐から何かを取り出した。
「取り敢えずこれ、うちの会員証ね。素材とか余ったら売りに来てよ…。」
「ギルド長!!マジ大変です!!今、政府から便りが来たんですけど、魔王からの宣戦布告がなされました!原因は魔王の領地内で巡回中の四天王の一人が何者かに闇討ちされ死亡したためらしいです!これは我々に対する侮辱であり、協定の破棄を一方的に送り付けてきたようなものだ。…らしいです。」
…うーん、もしかしなくても私のせい?でも襲ってきたのは向こうだし死んでも仕方ないと思うけどなぁ。絶対誰にも言わないでおこ。争いなんてクソくだらない。ロマンがない。降りかかる火の粉は払うが私から争いには行く気ない。
「先に言っておくが俺らは戦わんぞ。 BとAでも相当差があるんだ。AとSなんてそれよりも差がある。俺らはその辺の馬鹿とは違う無駄死なんてするつもりは無い。精々勇者が生まれるか誘拐されてくるまで逃げ隠れしてた方が生存率は高い。蟻が数匹、象に噛み付いたところで無意味なのは分かってるだろ?」
「…流石に荷が重いか。」
「当たり前だろ。前の勇者だって負けたのに一般人に毛が生えた程度の有象無象が勝てるわけない。一応言っておくが指名依頼を出されても俺達は受けるつもりはない。それが原因で降格するのならそれはそれで仕方ない。」
「えっ、こっち見たって知らないよー。私はロマンにしか興味ないの。死ぬなら勝手に死ねばいいじゃん。私は聖人君子じゃないし、争いは嫌いなの。」
「あ、あの、まだ続きあって、巡回中に反応が消えた所に魔王が直々に来てるらしいんですけど、それ、ここの近くなんですよね…。少なくともこの街は滅ぶのが確定だと思います。」
「「「…犯人お前か!!?」」」
「いや、なんで私になるのさ?勇者じゃ無いのは見て分かるだろうし、化け物に勝てるほどの実力と実戦経験はないよ。ただ凍らせることしか出来ない奴がどうやって勇者すら敗北している魔王の家臣を殺せるのさ。それに、私が殺したとして死体はどこ行ったの?」
「確かに調査隊の報告ではそんなもの見つかってないしな…。」
「たたたた、大変です!!もう、魔王の反応がすぐそこまで来てます!」
「急いで逃げるぞ。」
「「「了解」」」
「んじゃ、私も旅続けよー。じゃあねおじさん達ー。」
それだけ言い残すとグレース達はギルドを後にした。
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