第12話 Aランク冒険者達の戯れ

風呂から上がって部屋に戻るとなんかトラブっていた。


「いつまで逃げられるかしら?」


「姉様捕まえたら如何致しましょう?」


「再起不能は最低限欲しいねぇ。」


「うふふ、やっぱり…。心配の必要はありませんよ。壊しても治して差し上げますから。」


「「うふふふ…。」」


怖っ!!?何やってるの?


「あー、今二人はお怒りだから余計な事は話さない方がいい。しかし珍しいな。あいつが地雷を踏み抜くなんて滅多に無いのに…。表情には出ていないが疲れているのか?」


よくよく見てみると半透明な男が壁や天井を走り回りそれに何らかの魔法を当てようとしているのが見えた。魔法の速度も男の移動速度も完全には視認できない程速い。


「ここはこれが普通なのか…。ロマン溢れてるなぁ。人が音速より早く動くなんて…、あー、今までの常識は何一つ通用しない!未知とはロマン。0からロマンの探求が出来るなんて…。ふふふ、素晴らしい!!」


「なんか勝手にテンション上がってるなー。」


「寒っ!!?」


半透明で高速移動していた男が天井から落ちる。その隙を逃さまいと一瞬で魔法が展開された。


「…永遠の苦しみを与えんとする悪意の化身、深淵より出し鎖。」


「アガッ!!?」


「ふふふ、新作よー。」


「流石姉様作りたての魔法ですら詠唱を簡略化しているなんて!!さて、私達を敵に回した報いは受けていただきます!」


「ちょ、これ。調整して無い奴だろ!!?」


「あらら、余裕が無くなってますねー。ただの拘束魔法でそんなに苦しいですかぁ?」


「クソが!!」


因みにこの鎖が巻き付いている間常に神経をぐちゃぐちゃにされているような激痛が走り、全身の感覚が麻痺し痛みしか感じる事が出来なくなる。しかし、これでもAランクに至った冒険者であるため苦痛には滅茶苦茶強くて普通に会話が出来ている。Bランク冒険者なら即泡吹いて失禁気絶ぐらい余裕で行く程の苦痛である。


「次はー、未来永劫その体を…。」


次の瞬間、ピーターの拳がララの頬を捉え、強制的に詠唱をストップさせた。

因みにピーターの軽いグーパンでも一般人がくらうと肉片一つ残さず全身消し飛ぶ程度の威力を誇る。素手でその威力を出せるのだから武器など使ったらお察しである。デフォでその威力を持つ者が超高速で接近してくるのだから基本的に死からは逃れられない。


「アウトー。ストップー!!それは取り返しつかないから。ここは平和に人体破壊ぐらいで勘弁してやれ。」


そう言ってピーターはどこから取り出したのかペンチを一つずつ姉妹に渡した。


「痛いわね。まぁー、良いわ。ウズウズしてるし選手交代よ。」


ピーターのグーパンをくらったララの頬は少し赤みを帯びているだけで済んでいる。


「お姉ちゃん物理的人体破壊は任せてー。」


僧侶であるルルは仕事柄人体の専門家。それが本気で苦しめようとしてくるのだから恐怖でしか無いだろう。しかし、パールは怯えた表情一つ見せずに普通に会話を続ける。


「いや、おかしいでしょ。俺、事実を言っただけで拷問される筋合いないんですけど!!」


「お姉ちゃんと同類にするのが悪い。いい?姉妹だら仲良いし忘れがちだけど、魔法使いと聖職者を同類扱いするのはタブー中のタブーだよ?しかも、聖職者に何するか分からないって魔法使いと一括りにするなんて最大限の罵倒、本来なら私刑で殺されても文句は言えないんだよ?」


「うっ…。」


「疲れてるんだよね?分かるよ。でも、罪は罪だから断罪しないといけないね?」


そこから暫くルルの独壇場が続き満足したのか見るに堪えない姿をしているのを回復させた。


「二人ともドS過ぎでは…。」


正直私ですらちょっと引いた。と言うかあのグロッキーな状態から回復させられる魔法もイカれてる。無法過ぎる!あんなの前世にあったら警察にチクられて長ったらしい説教聞かなくて済んだのに!!

因みに姉の影に隠れがちだがルルのSっ気も中々のものである。治せると言うアドバンテージがあるため姉よりも過激になってしまうのも大きい。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る