第6話 街へ

どのぐらい時間が経ったのか分からないが私は雪の中で目が覚めた。


「生き埋めって奴じゃん。最悪だよ。」


取り敢えず身体能力強化を使い雪を掻き分け泳ぐように地上へ脱出する。


「ぺっ、口の中に雪入った。もう最悪。髪の毛もビチャビチャだし、最低。生き埋めにはなんのロマンも無い。早く街に行ってお風呂入りたーい。換金は凍らせた邪竜の一匹で足りるでしょ。魔王軍とか出てたんだし敵軍の戦力を研究って名目で研究機関が欲しがってもおかしく無いし、なにより氷漬けの死体でも臭いし、早く捨てたい。」


私は地図を見ながら街があるであろう方角へ足を進めた。


〜異常気象雪原近くの街にて〜


「ヤバいぞ。向こうのほうから異常気象を齎している雲がこっちに流れてきてる。僅か数時間で比較的安全な草原が入ったら即凍死の空間に変わった程の異常がこの街に…。」


「どうしますか?街捨てて逃げるにしても受け入れ先が無いから魔物に食い荒らされて死ぬのがオチですよ?」


「この街に居るありったけの魔法使いと聖職者で結界を張る。気休めにしかならんだろうが環境を書き換える程の天候を耐え切るにはこれしか無い。」


「でも、そこ二つは犬猿の仲では?」


「生死がかかってるのにそんな事をほざくなら殴ってでも連れてこい。全責任は私がとる。」


「はーい。」


「お前もお前で余裕だな…。」


「だって、焦った所で現実は変わらないでしょ。ならいつも通り行きましょうー。」


「その能天気さが羨ましいぜ。」


「じゃあ、殴り込みに行ってきますー。」


「いや、殴るのは指示に従わなかった場合にしてくれ。」


「へーい。」


〜異常気象雪原にて〜


「はー、最悪。いつまでこのクソ天気続くの?同じ雪景色にロマンはねぇーよ。砂漠とかならピラミッドっていう分かりやすいロマンがあるけど、雪にロマンなんて聞いた覚えがない。怪異とかも面白そうだけど、それに期待するにはちょっと無理がある。」


いや、確かに恋愛系では雪景色ってロマンチック感を出すのに丁度いいけど、こんな猛吹雪のどこにロマンを見出せばいいのか。


「ぶつぶつ言ってても仕方ないし、街へ急げー。あったかいお風呂入るんだー。特に髪の毛ヤバいし。」


ロマンロマン言ってて着痩せするタイプで更に胸まな板だから勘違いされやすいがれっきとした女である。髪やおしゃれには結構敏感。

暫く歩くと目前にお城を囲む城壁のような立派な壁が聳え立ち、そこを覆うように透明な壁があった。


「なんか凄くスノードームに見える。でも、上のは雪か雨でも降らない限り見えないし鳥よけか何かかな?」


〜街内〜


「雪が強くなっていく!!」


「報告、生体反応を確認!!」


「は?あの吹雪の中にか?」


「はい、こちらに向かってきています!!」


「つまり、元凶って事か。分かったこの吹雪にも耐えられる人員に討伐を依頼しよう。ギルドに連絡!!」


「はい!」


「報告!!魔法使い聖職者共に半数が魔力切れにより離脱、この結界が維持できる時間も残り少ないかと!!」


「元凶の討伐が間に合うか、我々が凍死するのかか…どちらに転ぶかな。」

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