第4話
婚約破棄騒動が一段落ついてから、私は悠々自適なスローライフを送っている。今までの人生で休まなかった分も目一杯のんびりしなきゃ!!ですわ
あの後、陛下とあの場にいなかった皇后様から非公式の場で、謝罪がありました。陛下はもですが、特に皇后様の謝罪と後悔がすごくて、なんだかこちらが申し訳なくなってきました。
そのとき聞いた話で知ったんですが、陛下と皇后様はこの婚約に反対の立場だったんですが、まだご存命であった、先代の皇帝陛下が孫かわいさで推し進めた婚約だったそうです。先代陛下は武に優れておられましたが、内政にはからっきしだったらしく、ギリギリの状態で帝国は成り立っていたそうです。今でもその影響は残っており、陛下と皇后様は、帝国の再建にご尽力なさってようやく全盛期には及ばないものの、それに近しいところまで復活してきました。陛下も皇后様も両方お忙しく、子供も一人しか産めなかったそうです。お二人とも苦労なさってるんですね..........
「父は戦争に明け暮れて、滅多に国内にいなかったし、得た土地の管理や後始末もしなかったから、全て私に回ってきて、大変だったなぁ。その父のせいでソフィアにも迷惑ばかりかけて申し訳無い...........」
「本当ですわね。私達が国外へ移動している時に、急に帝城に帰ってきて、大々的に発表されるから、撤回するのは難しく、どこか私達もソフィアなら、馬鹿息子を支え、変えれるかもしれないという気持ちもあったのかもしれませんわね。本当に申し訳なかったわ.............先代の公爵もよくぞ契約を結んでくれたものですわ。私、先代様には嫌悪感しか抱きませんでしたもの。」
先代陛下、すごい嫌われようですわね.........まぁ、無理もありませんが。
「ところでソフィア、いい男は見つかったか?」
「そうですわ、カイルはどうなんですの!?貴方たち、小さい頃から仲が良かったし、ソフィアのことずっと守ってくれていたじゃない!!あの子がソフィアに向ける目を見ていたら、わかるわ。絶対恋しているわよ。アタックしちゃいなさい。」
「いえ、そんな.........カイル様と!?........................」
「これは、相思相愛ね。ふっふっふっふ」
カイル様は、皇太子の凶行を止められなかったとして、罰を受けましたが、皇太子の勝手な独断の行動であることと、普段から注意、助言をしていた。更に私が減罪を求めたので、1週間の自宅謹慎という罰に止まりました。
皇后様が、何か不敵な笑みを浮かべていらっしゃいます...........一体何なんですのぉ~~~!!
******
1週間後....................
私は再び皇后様に呼ばれ、帝城に向かいました。
「皇后様、今日は一体どうされたんですか?」
「まぁ、ちょっと待ってなさい.....................あっ、来たわ!!」
誰か来たのかしら................と見ると、カイル様がいらしておられました。
「皇后陛下にご挨拶申し上げます。それで、私に会わせたい人と..............ソフィア?」
「ひゃい!!」
あぁ、声が裏返ってしまいましたわ。恥ずかしいぃぃぃ
「あっ、私用事を思い出したわ!後は若い2人で仲良くねぇ~。
ボソッ.......絶対、カイルの心を射落とすのよ!」
そう言って、皇后様は、どこかへ出かけてしまわれました。
まってぇぇぇ二人きりにしないでぇぇぇ
こ、心の準備が.........................................
「皇后様が会わせたいと仰っていたのは君のことだったのか。
後で、お礼をしないと.................」
「へっ!?何か仰いました!?」
「いや、何も無いよ。しかし、ソフィアも大変だったな。あんな奴の婚約者を長い間やっていて。マジですげぇよ。」
「いや、そんなことは....それで言ったら、カイル様だって伯爵様に振り回されて大変だったでしょ?」
「まぁな。何度、あいつの顔殴りてぇぇと思ったことか。聞いてくれよ、あいつ城の廊下に落とし穴を作って、落ちる人の驚き顔を見て笑っストレス発散させてたんだぜ!?」
「まぁ、なんて意地の悪い...........」
「そうなんだよ、それで殿下を探しに来た俺を落とそうと思ったらしく、押そうとしたんだけど、俺が避けちゃって殿下が穴に落ちちゃってさぁ、そのときの顔が面白いのなんのって」
「避けるなんて、流石カイル様ですわ。ふふふ、そうなんですのね。私も見てみたかったわ。でも、よくそんなことされてまで、殿下の側近になろうと思いましたわね?」
「あぁ、俺が側近になることで、助けることが出来るかもしれないと思った人がいたからな。」
「えっ!?そんな人がおられましたの?どこに?」
「はぁ........鈍感にも程があるだろ。君だよ。」
「へっ....................!?!?!?!?!?!?」
「だから、俺が助けようと思って、馬鹿な皇太子の側近になり、ずっとカバーしてきたのは、全てソフィアの助けになると思ってしたことなんだっ!!」
「........そんな、嘘よ!!だって、貴方と殿下が話しているのを聞いたわ!私のこと、愚図だの馬鹿だの散々なことを殿下と一緒に話していたじゃない!!」
私は今までの人生の中で出したことがないくらいの大きな声で叫んだ。あのとき、私の初恋は終わったの。あのとき、貴方が否定してくれていたら...........
「それは............あのとき、ソフィアが私達の話を聞いていたのは気づいていた。」
「なら、どうして!?」
「俺が気づいたのと同じように、あの男も気づいていたんだよ。あいつは何を思ったのかは分からないが、小声でソフィアの悪口を言えと脅してきたんだ。そうで無ければ、ソフィアがどうなるか分かっているだろうな.......と。」
「何ですって........きっと、私が貴方に片想いしていることに気づいたのよ。あの方は、妙に勘は良かったし。それでは、本心から言っていたわけでは無いのね!?」
「当たり前だろう!!どんな気持ちで君のこととあの男のことを見ていたか!!あの男は、小物だったが、自分の言ったことは何があろうとやり遂げる。だから、君にもしもの事があってはいけないと思い......................................うん?片想い?まさか」
「そう。私も貴方に恋していたの。だから、「俺と結婚して下さい!!」
セリフを取られてしまいましたわ!!私から言いたかったのにぃぃ!!
「この時をどれほど、待ち望んだと思っているんだ。幼少からの夢だったんだ。ソフィアに自分の気持ちを伝えるのは。でも、ふふふふふ。そうか、ソフィアも俺のことが好きだったんだなぁ両思いだったんだな!」
こちらの考えをしっかり見抜かれていましたわ。でも、これほど、結婚したいと心から、思えるなんて。私の気持ちは思ってた以上に貴方に奪われていたのね。
「はい!!喜んで!!」
バチーーーーン!!!
「うわぁぁぁぁぁん!!良かったですわぁぁぁ!2人とも両思いだったなんてぇぇぇ......あんのぉ糞じじいのせいでぇぇ!地獄で待ってろよぉぉ」
皇后様が勢いよく、扉を開け、号泣しながら入ってこられました。く、糞じじいって、言葉が乱暴ですわ!!
このタイミングで出てこられたということは全部聞かれてましたのねぇぇぇぇ!!恥ずかしすぎます.........でも、不思議と今まであった不安や緊張は無くなりました。
こんなにも私のことを思って下さる方々に恵まれて!私はとっても幸せ者です!!
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