第8話 最近私が従えたのは by濡羽

数週間前に私に突っ掛かってきた四人組。なぎ沓耙とうは深如みゆきこう。彼らはロンペル派の人間の差し金だった。「で、私に従うって何するの?」考えていなかったらしく首を傾げている。「敵を退学させる、とか?」沓耙が言う。「まあ、面倒だし器具の手入れでも頼むとするよ。」ずらり、とメス、注射器、針…医療器具達が並んでいる。「武器などの手入れはいいのですか?」深如が問うた。「んー、それは私にしかできないから。」はぐらかすように言う。じゃあよろしくー、と立ち去る。「とりあえずやろうか。」庚のひとことでいっせいに手入れを始める。なかなか血が落ちず、煮沸までの汚れ落としに数時間かかった。煮沸、拭き取り、ケースにしまい直す、などの作業を合わせて5時間ほどかかってしまった。「濡羽さま、終わりました。」深如が少女のところまで報告にいく。「ん、おつかれー。何か美味しいものでも食べよう。」「お、ねえさん誰?その女。」一緒にいた釉翡が問う。「あー、前に突っ掛かってきた四人組のうちの一人だよ。」「あー、例の。」納得したらしい彼はうんうん頷いている。「そろそろ私部活だからー。」少女はばいばーい、と手を振った。

「深如、だっけ?アイツモテるから気をつけてやってな。」「はい、承知しております。」手を振って立ち去る釉翡に一礼する。「帰ろうかな。」

忠実な従者は歩き出す。

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