第7話 卒業パーティー

三年生が卒業する。知り合いが少ないため実感はないが━━パーティーに参加できる!この学園では卒業式にパーティーが必ず開かれる。昨年度は和牛のローストビーフとイベリコ豚の生ハム、パエリアにパスタ、リゾット…豪華な食事の数々が並んだらしい。パーティーだけにドレスがいる。紗羅の師匠が私のために見繕ってくれた一点物。

濃紺のシルク生地に星をちりばめたが如く美しい宝石が縫い付けられている。スリットが深く入っており、アラバスタの肌を持つ脚が覗く。黒いチョーカーには雪の結晶がかたどられたチャームが付いている。チャームと同じパーツが縫い付けられた濃紺のハイヒール。緩くウェーブのかかった銀髪は三つ編みを入れ込んで左に流している。

「こんばんわ。皆さん?」にこ、と一年生主席として挨拶してまわる。「今宵はこの学園から羽ばたく先輩方を送り出しましょう。」拍手が沸き起こり、二年生主席に変わる。「よぅ、ねえさん。おつかれ。」釉翡がスーツ姿で笑いかけてくる。「あんたってなんでスーツでもかしこまらないんでしょうね…」「俺は遊び人じゃねえんんだけど。あ、利香先輩ー。」「そういうとこだよ、馬鹿。」少女は苦笑した。お前ファンクラブもあるだろ…と。彼女にもファンクラブがあることを少女はまだ、知らない。

「瑠禾ー、濡羽いるよ。」透螺さんが連れてくる。彼女は現役大学生で卒業生。コシュマールの首領ボスをやっている。モスグリーンのレイヤードドレスを纏っている彼女は美しい。「お、瑠禾ちゃん。おひさ!」「あ、濡羽~!美味しいね、ご飯。」満面の笑みでパンケーキをんでいる。「そうだねー。」少女は一人微笑んだ。

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