第6話 うちの可愛い先輩は by深山

俺にはめちゃくちゃ美人で強い先輩がいる。まさにねえさまって感じの。一応、中立派として姐さまと同じところで過ごしている。「おはよ。」「おはようございます。姐さま!」「可愛いな、犁柘りつは。」にこにこと俺の頭を撫でる。「あ、釉翡先輩おはようございます。」「おぅ、おはよー。」眠たげに目を細める美青年。姐さまの次に好きな先輩はもちろん釉翡先輩だ。「釉翡ー、おはよ。」「おー、ねえさんおはよー。」2人は仲がいい。そこに金木犀色の長髪の、小柄な人影が見えた。「あ、玲朱れいしゅさん…おはようございます…。」俺はこの人がちょっと怖い。5こ下の女の子にここまで怯える日が来るとは思わなかった。「ああ、おはようございます。犁柘先輩。」眼光鋭き美幼女。こう見えて最大派閥、コシュマールの紅玉を担う人物。「玲朱、もっと優しくすれば?」「それは姐さん、無理な話というものですわ。それより撫でてくださらない?」「はいはい。」一度プライドを姐さまに打ち砕かれて以来こうして懐いているらしい。「濡羽、膝枕してよ。」「今日は嫌。そんなに私が好き?」ニヤニヤ笑う。「姐さま、俺もして欲しいです。」「あー、また今度ね。」「絶対ですよ。」「保健室まで行くの面倒だからこれで我慢してよねー。」ちゅ。紅色の唇が、俺の頬に口付けたまま離れない。「え、俺は?」釉翡が言う。「前さんざんしてきたし、もういいでしょ?」「姐さま、ありがと。」「ふふ、別に構わないよ。このぐらい。」玲朱はひとり、姐さん━━濡羽の教室をあとにした。

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