プロローグ-2 ふたたびの目覚め 

 再び目を覚ますと、そこはある街道のそばにある女神像の近くであった。


姫神様に教えてもらったように、『タブレット呼び出し』と念じてみた。




 すると、手元にはタブレットが現れて、そこには付箋が貼ってあった。読むと、「「在庫管理」の倉庫の中に”異世界のしおり”が収納してあります。また、初期費用として金貨9枚、銀貨99枚、銅貨99枚を金庫の中に収納してあります。ぜひ活用してください。 ~姫神より~」と書いてあった。俺は心の中で感謝を伝えると、さっそく倉庫の中から異世界のしおりを取りだしてみた。




 そこには、たくさんのことが見出し付きで書かれていた。そのなかでも、”0章 異世界に降り立ったら読むこと!”と書かれているページを開いてみることにした。




 しおりによると、まずここは”ジオフロ国”の”イザール子爵領”の”モルント”という街につづく街道だそうだ。ここから南の方に歩いて1時間程度の場所に街があるらしい。


 ちなみに、この国には現代日本にはなかった身分階級が存在する。上から”王族 → 公爵 → 伯爵 → 子爵 → 男爵 → 騎士 → 平民 → 奴隷”の順番で身分が下がっていく。騎士以上になると名字を名乗ることができるようになり、男爵以上になると領地を得ることができるようになる。基本的には、貴族は世代を踏襲していくことになるが、大きな功績を挙げた場合には名誉貴族になることもある。その場合、国からいろいろな恩恵を受けることができるが、領地を持つことができず子供に爵位を継ぐこともできない。


 平民の中にもいろいろあり、有名な職業でいくと「冒険者」「商人」「職人」「兵士」などがあるそうだ。この世界には当然のように魔物が存在する。その魔物を倒すことでステータスをあげることができるのだが、この魔物を倒すのに特化しているのが冒険者ということである。魔物を倒すだけでなく、魔物が出現する可能性があるところでの採取作業や、護衛なども請け負っているらしい。次に、商売している人はみんな商人という職業になる。店を構えていようが、露天で販売していようが、行商人をしていようがひっくるめて商人となる。その商品の作成を専門にやっている人が職人という職業になる。最後に、貴族に雇われて衛兵として街を守っているが騎士ではない人のことを兵士という。




 また、この世界の貨幣価値についても書いてあった。この世界には、下から”銅貨 → 銀貨 → 金貨 → 白金貨 → ミスリル貨”が存在する。各硬貨が100枚で一つ上の硬貨1枚分らしい。そして、この世界の銅貨1枚は日本で言うところの10円に相当するらしい。つまり、”銅貨=10円 → 銀貨=1000円 → 金貨=10万円 → 白金貨=1000万円 → ミスリル貨=10億円"ということらしい。




 他にも、ステータスの確認の方法ものっていた。『ステータス』と念じると、目の前にステータスウィンドウが浮かぶそうだ。基本的には自分にしか見えないが、許可した相手に見せることも可能である。そんなこんなで自分のステータスを確認することにした。




 <ステータス>




  <基本情報>


    名前: 姶良史人


    種族: 人族


    年齢: 24 


   レベル: 10


    立場: 平民


    備考: 異世界人・女神様の愛し子




  <各種数値>


    HP: 3000 / 3000


    MP: 3000 / 3000


  物理攻撃: 1000


  物理防御: 1000


  魔法攻撃: 1000


  魔法防御: 1000


   機動力: 1000


    幸運: 100




  <スキル>


    固有:発注管理<1>・成長促進<10>


    会得:なし




 まず、気になったのは備考である。異世界人はまだいいとしても、女神様の愛し子というのは何なのか不明である。次にレベルについてだが、しおりによると成人男性の平均レベルが10前後だそうだ。有名な冒険者になると50前後になっていき、大陸唯一の冒険者でレベル90前後まであがっていく。ちなみに、戦闘以外でもレベルは上がっていくが10を超えたあたりからは一気に上がらなくなる。なので、冒険者でないとレベル10前後で頭打ちになってしまう。




 各種数値については、一般的な値が不明なので今回は見送るとして、今度はスキルについて見てみた。発注管理<1>については直接、姫神様から聞いているのでよしとする。しかし、成長促進については全く分からない。ステータスを調べてみると、「女神様からの贈り物」という説明文が載っていた。本当に姫神様には感謝しかない。




 一通り確認も済んだので、街に向かって歩くことにした。 

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