第90話 双子の身体完成

 異世界に戻り、早速双子の身体を作り始める。

 双子とベルを引き連れて屋敷の地下に行く。


「それじゃあ、早速作り始めるよ」


 私がそう宣言するけど、双子はニコニコしたままよくわからない感じだ。

 ベルは先程から、私の見せた3Dモデルを食い入るように見ている。

 ちなみに、昨日のうちにモデルを3面図として印刷済みだ。

 紙だったら素材として放り込めるからね。


「こちら本当に二人を見たことない人が書いたのですか?」


 うん。その反応は昨日ミドリで見た。


「それに、横からの図や正面、上からの物まであるなんて……」


 それは3Dモデルだから当然?

 そういえば、そもそも3Dモデルって概念がないのか。

 まぁ、パソコンもないから当たり前だけど、そうなると確かこれだけのに3面図って凄いかもね。


「まぁ、そのあたりはあっちの技術と描いた人の腕かな」


 というわけで、昨日ベルから紙を取り返して素材として指定する。

 ほかには複製しておいた大量の魔力粘土を魔法陣の中に入れる。

 ……なんか、漫画でこういう絵見たことあるなぁ。

 錬金術で人体錬成する漫画だったけど。

 二人の身体作るところからしてやってることは同じかな?

 そうなると、私の一部分持っていかれちゃうわけだけどね。

 まぁ、私の錬金術の等価交換は魔力だから身体持っていかれるなんてことはないわけで。

 便利な錬金術で良かったわ。


 そんなわけで、サクッと素材指定を終わらせてあとは魔力を注ぐだけ。

 できるだけ慎重に魔力を注ぎ込む。

 子どもたちの体になるわけだしここはきちっとしておかないとね。

 身体、人形の身体になるわけだけど、ほんとの家族みたいになれたらいいよね。

 それに、二人が生きてた頃みたいな感じで一緒に生活できると楽しいかな。

 まぁ、そこまではできないだろうけど、できるだけ、ね。

 魔力を注ぎ込むこと10分程度。

 我ながら、一つの錬成にここまで時間かけるのは初めてじゃないかな?

 少しずつ注いでいるからだろうけど、なかなかに魔力消費している気がする。

 でも、まだできる気配がない。

 こんなにかかるものなのかな?

 その後も20分くらい注ぎ、ようやく完成した。

 合計で30分か。かなりかかったね。


「ふぅ……、長かったね」


「それはそうですよ……」


 私がつぶやくと、ベルが呆れたような声を出した。


「えっ?」


「そんな本当の人間作ろうみたいなことしたら大変に決まっているでしょう」


「いや、たしかに、家族みたいになりたいなぁと思ってたけど、そんなに?」


「普通だったら魔力が足りません。ですが、マスターさんの規格外の魔力だとできてしまうんですね……」


 神様にもらった大量の魔力に感謝。


「ちなみに、魔力は大丈夫そうですか?」


「あー、なんか減った感はあるけど、多分?」


 久々に、自分を鑑定して魔力量をチェックしてみる」


「あー、10%くらい消費してるね」


「マスターさんの魔力で10%って……」


 ベルが絶句している。

 けど、


「まぁ、これでまだ半分だからね。ちゃんともう一人の身体も作ってあげないと」


 今できたのはあくまでも一人分。

 双子だからもう一人分必要なのは当たり前だ。


「少しは休んでから……でなくても大丈夫ですね。はい」


「うん。魔力量的には問題なさそう」


 今のでちょっとコツは掴めた気がするから次はもうちょっと早くできそう。


「さて、もうひと頑張りだ」



 もう一人分は20分で完成した。

 さっきよりも10分早いけど、雑にしたわけじゃない。

 私の目の前には、壁により掛かるように座っている、二人の身体がある。


「うん。力作」


 満足。非常に満足だ。

 まるで、本物の人間みたいな質感だ。

 知らない人が見たら、勘違いするレベルだと思う。

 知ってる私が見ても、眠っている双子にしか見えない。


「これは……、すさまじいですね。さすがマスターさんです」


 ベルもびっくりしているみたい。


「それじゃあ、あとは二人に操ってもらうだけだね」


「はい、二人もきっと喜ぶでしょう」



 双子の人形をかかえて地下から出る。

 二人を呼びに行けたら早かったんだけど、どうやら二人は地下室にはあまり入りたくないらしい。

 入れないとかではないらしいけど、なんか居心地が悪いらしい。

 そのため、地下から運び出す必要がある。

 私は重さは感じないから、こういう時だけは幽霊でよかったと思う。


 双子にはリビングで待っているように言ってある。

 流石に2階まで運ぶのは面倒だからね。

 二人はちゃんとリビングで待っててくれた。

 いつも通り、二人でなにやら遊んでいるみたいだけど。


「レナ、ルナ」


「「あっ、ママ!」」


 声をかけると嬉しそうに寄ってくる。

 そして、私が持っている人形を見てびっくりする!」


「レナがいる!」


「ルナがいる!」


 お互いがが相手の人形を指さして言う。

 うん? そうか、二人は自分の姿が見えないからそういう反応になるのか。

 これが自分の姿だってのが認識できないからね。


 お互いの人形と相手とを見比べて不思議そうにしている。

 その反応は見てて面白いけど、ちゃんと説明しなきゃね。


「こっちがレナ、こっちがルナの身体になるのよ」


 前に手を動かした時のことを振り返ってこれからの説明する。


「それじゃあ、試してみてくれる?」


「「うん」」


 二人に自分の人形の後ろに立ってもらい、同化するようにしてもらう。

 前回の手と同じく、重ね合わせる作戦だ。

 スッと、二人の姿が人形と完全に同化する。

 まるで吸い込まれたみたいだ。

 緊張の一瞬の後、二人の目が開いた。

 開いた二人の目は瞬きを数回した後、気がついたように私を見て。


「「ママ!」」


 私に抱きついてきた。


---

宣伝失礼いたします。

本日よりカクヨムコンの作品を投稿しております。


底辺配信者でしたがもふもふのモンスターと合体してモン娘になってダンジョンに入ったら引くほど無双して超絶バズってしまった


現代ファンタジーのダンジョンものになります。是非ともよろしくお願いいたします。

https://kakuyomu.jp/works/16817330666641589646



  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る