第83話 ゴーレム退治

 ゴーレムが腕をブンブンと振り回している中で扉を調べる。

 しかし、


「うーん? どうやったら開くんだろ?」


 扉は扉の形をしているだけで、押したり引いたりしても全く動かない。

 こういうのってゲームだったらなんかギミックを解除して開くとかだよね。

 ここで考えられるギミックというと……


「このゴーレムを倒すとか?」


 えー、めんどくさい……

 なんとかしてこの扉破れないかな?


 いつもの聖属性ナイフは無理でしょ?

 だったら、オオスズメバチを倒した時に使った超火力ライターなら行けるかな?

 あれだったら石くらい貫通しそうなものだけど。

 試しに指輪から取り出して使ってみる。

 先に何があるかわからないから、少し下目に向けてっと。

 カチッと発射。

 が、扉には穴どころか傷一つついていない。


「なんでだ……」


 まさかの超火力ライターが敗北。

 なんだろう、火が吸収されてるような感じ?


 そうか、この扉も鑑定してみればいいのか。

 別に魔物とか素材限定ってわけじゃなかったはずだし。

 というわけで使ってみた。


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 名称

 地下遺跡の扉

 説明

 魔法を吸収する効果がある扉

 ゴーレムを倒すと扉が開く

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 名称に関しては、まぁ置いておいて……

 魔法吸収?

 やっぱり勘違いじゃなかったか。

 火が魔法というとちょっと疑問だけど、魔力で強化してるわけだから魔法には違いないか。


 しかし、私の天敵とも言える効果だなぁ。

 ここはおとなしくゴーレムを倒すしかないかな。

 まぁ、さっきの鑑定の結果からするにゴーレムは普通の石っぽいし、この超火力ライターで行けるでしょ。


 振り返ってゴーレムを見る。

 ゴーレムは変わらず、私に向かって腕を振り回していた。

 ダメージとかないのはわかってるけど、顔を貫通するとちょっと気持ち悪いね。

 というわけで、まずは腕を狙って超火力ライターをカチリ。

 レーザービームはゴーレムの腕を貫き穴を開ける。

 しかし、ゴーレムが関係なく腕を振っている。

 まぁ、細い穴だし、このくらいじゃ支障はないか。

 だったら、そのまま切るだけ。

 別にライターは一瞬だけしか点灯できないわけじゃないからね。

 ライターを付けたまま腕を横にして、ゴーレムの腕を切断する。


 ガチャン、と太いゴーレムの腕がその場に落ちる。

 流石にそれが動いたりはしないみたいだ。

 そのままもう片方の腕まで振ると、ゴーレムが真っ二つになった。

 ゴーレムの上半身がズルっと地面に落ちる。

 これで倒したかな? と、思ったんだけど、扉が開く気配がない。


 うーん? もしかして推測が間違ってたかな?

 いや、でもそれだとどうしたもんかなぁ……


 悩みつつふと、ゴーレムを見るとまだ首が動いていた。

 なるほど、この状態でまだ生きているってことかな。

 そういえば、鑑定した時内部のコアが云々って書いてあったっけ。

 しかし、内部コアはどこにあるんだろ?

 首が動いているってことは上半身のどこかであることは間違いないけど。

 こういうのはだいたい胸部か頭かな?


 まぁ、解体していけばいいか。

 とりあえず、縦に切ってっと。

 これでまだどちらか動くようならまたそっちを半分にしていく作戦だけど……

 おっ? 止まった。

 ってことはコアを壊したってことかな?

 断面を見てみると、頭のところになにかあった。

 半分になった球体? まぁ、これがコアってことで間違いないでしょ。


 壊れたことだし、扉が開か……

 開いた!

 ゴゴゴと音を立てて、上に動く。

 やっぱりゴーレムを倒すで正しかったか。


 それじゃあ、奥に……

 と、その前に倒したゴーレムを回収しておこうか。

 後で何かの役に立つかもしれないしね。

 できればこのゴーレム修復とかしてみたいよね。

 帰ったらベルに相談してみよう。


 扉をくぐって奥に進むことに。

 扉の先は大きな建物の内部のようになっていた。

 具体的には廊下と小部屋っぽいものがたくさんある。


 その一つ一つを慎重に確認しながら進んでいく。

 3部屋確認をしたが、どの部屋も瓦礫だらけでまったくもって何も見つからない。


 ここって何のための施設だったんだろうね?

 地下があるってことはそれなりに大きな施設だったんだろうと思うんだけど。

 いかんせん、崩れすぎてて全くわからない。

 ゴーレムがいたってことはこの地下には何か守りたいものがあったんだと思うんだけど。

 それが魔法関係のものだと嬉しいんだけどね。


 何か収穫があることを祈りつつ、探索を進めていく。

 6つ目の部屋に入ったところで。


 ゴトッという音とともに巨大な影が動いたのが見えた。


「うわぁっ!」


 思わず、飛び退いて部屋を出る。

 恐る恐る部屋の中を覗いてみると。


「うわぁ、またゴーレムだ」


 入り口にいたものとは色が違うゴーレムがいた。

 ひとまず、鑑定だ。


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 名称

 クレイゴーレム

 説明

 魔粘土でできたゴーレム

 内部のコアを破壊すれば停止する

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 石から粘土になった。

 しかし、魔粘土で出来てるってことは、私に攻撃が当たるってこと?

 さっきみたいに霊体に攻撃が効かないとか書いてないし。

 部屋から出て正解だったね。


 部屋の外から見ている感じだとゴーレムは動く気配がない。

 試しに、足を一歩踏み入れてみる。

 ゴーレムが動いてこちらを見たような感じがした。

 足を戻すとまた停止した。

 ふむ、部屋に入ったら反応するってことかな?

 ってことは……

 超火力ライターを取り出して、頭に向かってカチッと。

 そのままゴーレムを真っ二つにするように動かす。

 クレイゴーレムだかなんだか知らないけど、遠くから一方的に攻撃できるなら倒すのも簡単だね。


 無事に半分に割れて動かないことを確認して部屋に入る。

 ゴーレムがいたってことはここに何かある……んだと思ったんだけど。


「何もない……」


 部屋の中には、半分になったゴーレム以外に何もなかった。

 うーん、ほんと何も見つからないなぁ……


 とりあえず、クレイゴーレムの死体も確保しつつ探索を続けることにした。


 その後、他のゴーレムには遭遇することなく、奥につながる道を見つけた。


 クレイゴーレムの素材は、なにか使えそうだからもうちょっと確保しておきたかったんだけど。

 まぁ、複製で増やせるからいいんだけどね。


 奥への道は、たくさんあった部屋とは関係なく入り口からみて奥側にあった。

 なぜそれが奥への道とわかったかと言うと……


「……開かない」


 そこは、入り口のように現順な扉で覆われていた。

 素材もさっきと同じような感じだったから、また何かゴーレムを退治しないと開かないやつかな?

 でも、ゴーレムはさっきのクレイゴーレムが最後で他にはいなかったけどなぁ……


 鑑定して調べてみよう。


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 名称

 ***の扉

 説明

 魔法を吸収する効果がある扉

 ***するとと扉が開く

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 ……うーん?

 読めない文字があるぞ……

 こんなの初めてだ。

 あ、でもベルを初めて鑑定したときに知識量に応じて内容が違うみたいなこと言ってたかな?

 そのあたり前は詳しく聞かなかったけど帰ったら聞いてみようかな。

 つまり、今回の読めない文字は私の知識不足?

 開ける条件のところにそれが入られると困ってしまうんだけど……


 つまるところ、なにか私に想像とか知識の外にあることをしないといけないってこと・

 それただの無理ゲーじゃない?


 ちょっと考えてみる。

 …………


「うん。無理だね」


 諦めて少し建物の中をウロウロとしてみたけど、何もヒントになりそうなものもないしね。

 もうちょっとこっちの世界と魔法関係の知識を溜めてからじゃないと駄目だと判断した。

 この先になにかあると考えると惜しい気がするけど。

 無理なものに固執してもしょうがないしね。


 ということで、諦めて拠点に帰る。

 帰ってからベルに扉について聞いてみることにした。


「おそらくその判断で間違ってないと思います」


 との返事。


「鑑定スキルでの結果はマスターさんとワタシの知識に依存しますので、どうしてもわからないことはあります」


 つまるところ、どちらも知らないものは鑑定できないってことね。


 今までに出なかったのはベルの知識量が凄いんだと思う。

 そのベルが知らないことが条件ってかなり大変じゃない?

 調べても出てくるか微妙だなぁ。

 まぁ、記憶には残しておいて機会があったらってことにしようかな。




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