第82話 遺跡の地下へ
ベルに振られた私は一人寂しく遺跡へとやってきた。
まぁ、ベルが壊れちゃうのは困るから一人なのはしょうがないんだけどね。
レアさんとカリナさんがいれば一緒に来てくれたかもだけど、残念ながらまだ戻ってきていない。
そういえば日数とか聞いてなかったっけ。
まぁ、何かあれば毎朝来ているサティさんが何か言ってくるでしょ。
それはそうとして、地下への入り口らしき場所はどこかな?
えっと、本を見ると、真正面がこっちだから……
「この辺りかな?」
本に書かれていたと思われる場所は瓦礫の山で埋まってしまっている。
これがあるから地下の情報がなかった感じかもね。
これを全部どかすとなると大変だしね。
しかし、今の私ならできる。
「そりゃっ!」
私は瓦礫に手をかざし念を込める。
実際に込めているのは魔力だけど。
手と瓦礫が魔力がつながったのを確認して、手を動かす。
すると、そこにつながった瓦礫が一緒に動く。
「やっぱりこれ便利だなぁ……」
物体を動かす能力だからサイコキネシスでいいのかな?
いや、でもあれは念力っていうよくわからない力で起こすものだったはず。
私が幽霊なことを考えると、
「ポルターガイスト?」
まさかポルターガイストを起こす側になると思わなかったなぁ。
そうこれこそが、魔石を使った魔力制御の練習と、双子との遊びの結果だ。
双子の幽霊経験は私の数倍あり、壁をすり抜けたり、浮いたり、遠隔でものを動かしたりと、いかにも幽霊という感じのことができたのだ。
その双子から遊びつつ教えてもらったところ、無事に遠隔でものを動かせるようになったわけだ。
これで私も立派な幽霊だね。まぁ、まだ空を飛んだりはできないけど。
あ、ちなみに、双子にどうやって使えるようになったか聞いたんだけど、
「「掃除するのに必要だったの」」
と返ってきた。
どうやら家の掃除をしていたのは予想通り2人だったらしく、そのためにいろんな家財を動かす必要があったらしい。
その結果、やったらできた、みたいな感じだったらしい。
この辺り、私の場合は先入観とかが邪魔してるのかもね。
触らずものが動かせるはずがない。みたいな?
その点、子供は素直だし。まして、こっちの世界の子供だからね。
家の地下なんかを見るに、2人が生きていた頃は魔法の痕跡が残っていた時代みたいだし、もしかしたら接する機会もあったのかも?
まぁ、2人に聞いても生前の事はあんまり覚えていない見たいんなんだけどね。
閑話休題。
というわけで、ポルターガイストが使えるようになった私には、この程度の瓦礫なんでもない……
なんてことはなく、結構な時間がかかってしまったよ。
結局腕力で動かすか、魔力で動かすかだけの違いだから、どかす量とかは同じだしね。
疲れないってのは大きな利点ではあるけど。
全部の瓦礫をどかし終えると、瓦礫の下に階段を発見することができた。
もう何箇所か探すつもりだったけど、一発で探り当てられたみたいだ。
幸いにも階段の中にまで瓦礫はないみたいなので降りられそう。
恐る恐る階段を降りていく。
上から崩れそうなことを抜かせば、割としっかりした作りっぽい。
まぁ、崩れても私をすり抜けるからいいんだけどね。
考えてみれば瓦礫どかす必要もなかった?
いや、でもなんでか未だに地面はすり抜けられないんだよね。
瓦礫も足で触れてる以上、地面と同じ気がする。
まぁ、地面すり抜けちゃったら困るからこのままでいいんだけどね。
しかし、この階段長いな……
うちの階段と同じくらいは降ったと思うんだけど、まだまだ先が見えない。
それに暗いな。
そろそろ魔石使って明かり確保しないと。
これも練習したから眩しくなりすぎることはない。
3分くらい階段降りてやっと底についた。
降りた先は少し広めの小部屋という感じだった。
そして、奥につながる扉っぽいのが見える。
しかし、その前には……
「うん。確かに、『巨大な石のような魔物』だね」
本に書いてあったとおり、奥への扉を塞ぐようにゴーレムが立っている。
巨大という通り、かなりの大きさだ。
少なくとも私の身長の倍くらいはありそう。
それに横幅もそれなりにあるし。
控えめに言って強そう。
しかし、
「これ本当に私に攻撃効かないんだよね?」
どう見ても石だし、私には攻撃が効かない……はず。
そうだ、鑑定使えば素材わかるか?
なんでか動いていないし、今のうちに鑑定しちゃおう。
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名称
ストーンゴーレム
説明
石でできたゴーレム
霊体に攻撃は効かない
内部のコアを破壊すれば停止する
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ふむ、やっぱり石だったか。
それに、ご親切に攻撃効かないって出てるし。
これは私が知りたいって思ったから出たのかな?
あと、内部コアを破壊すれば停止するとか倒し方まで教えてくれてる。
鑑定は久々に使った気がするけど、やっぱり便利だね。
それじゃあ、攻撃も効かないとわかったところで遠慮なく。
小部屋に入ると、ピクッとゴーレムが動く。
こころなしか、私の方向を向いている気がする。
私は構わず、ゴーレムに向かう。
ゴーレムが腕を引いて、振った!
けど、私はすり抜けた。
うん。ちょっと怖かったけど、鑑定の通りだね。
やっぱりこのまま無視して良さそうだ。
それじゃあ、ゴーレムはなかったことにして扉を調べよう。
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