第23話 魔力付与ポーション
思いついた案についてベルに話す。
つまり、私の姿を実体化? 映像化? するのを諦めて、カナにその能力を与えるということ。
「要するに魔力さえ一定量あれば、私の姿って見えるんでしょ?」
さっきベルが話してくれたことからするとそいうことだと思う。。
この方法なら、特別そういう魔法を探したりする必要がない。
ただ、問題は……
「そういうアイテムって錬金術で作れる?」
それに尽きる。
結局方向が変わっただけで、肝心のアイテムを作れないなら意味がない。
「えっと、お話を聞く限り、魔力付与のアイテムですよね?」
「そう、そんな感じのやつ」
ただ、魔法を探すよりは簡単なんじゃないかと思ってる。
なんとなく、魔力付与するのはこれまでも道具にやってきたし、回復するポーションもあるんだから、それの応用でいけるんじゃないかと。
「一時的でいいのですよね? だったら、魔力付与ポーションがそれにあたるかと思います」
常にだと難しいですが……との話し。
今後のことも考えたら、永続的な効果のが望ましいけれど、一時的でも大丈夫。
「それって、作るの難しい? この辺りの素材で作れるといいんだけど」
「魔力付与ポーションは、ヒーリングポーションと魔石、それと『魔力を持つ花』で作れます」
ヒーリングポーションってのは前に作ったやつだよね。
それに、魔石もある。
「その『魔力を持つ花』っていうのは?」
「その名の通り、魔力を持っている、集める習性のある花になります」
さすが異世界そんな花があるんだ。
「いくつか種類はありますが、低ランクもものならば色々なところに咲いています」
『魔力を持つ花』っていうのは、素材の名前じゃなくて、そういう効力を持つ花のことか。
「魔力を持った花は、魔素が濃いところに咲きます。この辺りは割と濃い感じなので、咲いている可能性は十分あると思います」
確定ではないけれど、チャンスはあると。
「ですが、魔素が強いところには当然強い魔物もいますので、結構危険ですよ」
危険か……
「流石に、あの変異種の狼が沢山いるようなだと厳しいかもだけど、そこまで?」
「あ、いえ、あれは本当に本当に特殊な例です。ですが、普通のウルフよりは確実に危険度は増します」
うーん、いまいちイメージが沸かないなぁ。
今の私の判断基準は、通常ウルフは簡単、変異種ウルフは危険。
その差がどのくらいあるのかさっぱりわからない。
「このナイフでも駄目かな?」
「一体ならそのナイフでも倒せますでしょうけど、群れでいたら追いつかないと思います」
あー、群れでいるのかぁ……、その可能性は考えてなかった。
ウルフとかは、私が見えないから何体いようとも大丈夫だとは思うけれど、見える魔物が複数体いたら、逃げたほうがいいなぁ。
「でも、まずは見つけてからかな。もしかしたら、何事もなく見つかるかもしれないし」
可能性を増やしておくことは悪いことではないしね。
ナイフを持って外に出た。
うーん、どの方角に行ったらいいかな。
魔素が濃い場所に咲くってことだけど、魔素が濃い方向とかわからないし。
あ、でも、魔素が濃いと強い魔物が出るんだっけ?
ってことは、最初に変異種ウルフを見た方角ならいいんじゃないかな?
またあの変異種ウルフに見つかる可能性もなくはないけれど、今は探知スキルとかあるからばったり会うなんてことはないはず。
えっと、飛び込んだのがこの壁だからこの真正面に進めばいいかな。
昨日と同じく、目印を置きつつ森を進んでいく。
逃げる時は木を突っ切って真っ直ぐに進んだので、今回もできるだけ真っ直ぐに。
木をすり抜けてはいかない。なんでか自然と避けちゃう。
来た道を逆に進んでいるつもりだけれど、見覚えはまったくない。
あの時は焦ってたし、周りに気を配る余裕なんかなかったからね。
まぁ、アトリエの場所が特殊なだけで、周りは木ばっかりで代わり映えしないのもあるけれどね。
結構な時間を歩いたと思う。
途中に花らしきものはいくつか見たけど、どれも、探しているものではなさそうだった。
一応回収はしておいたけれど。
魔物はスライムをちょくちょく見つけるくらいでウルフも他の魔物もあまり見なかった。
ひょっとして魔素濃くないのかも? と思いつつも歩いた。
多分だけど、あの変異種ウルフを見た場所は超えたんじゃないかな?
そんな時に、やっと群生している花のシルエットを見つけることができた。
色は青色なのでそこそこレアかな?
だけど、同時に魔物らしきシルエットも見える。
シルエットから察すると飛んでいるっぽい虫? 蜂かな?
私の知っている地球の蜂に比べたらその大きさは超巨大って言っていいくらいだけど。
ともかく、花は確認したいので、できるだけ気配を消して花に近寄る。
鑑定スキルは目に物が入っていれば使える。
木に身を隠しつつもなんとか位置取りをすることができた。
視界の先には花畑が見える。同時に、魔物の姿も捉えることができた。
予想通りの巨大蜂。お尻の針が大きくてあれに刺されたら重症じゃ済まないだろう。
そっちも鑑定したいけれど、まずは花の方。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
名称
ヤメソニー
説明
魔力を持つ花
品質
35
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
花の名前は見たことないけれど、説明には魔力を持つ花って書いてある。
ってことは、この花であたりだ。
この花を使って魔力付与ポーションを作ればいいはず。
でも、問題は、群がっている蜂の魔物。
そう群がっている。
蜂の巣が近くにあるんじゃないかってくらい沢山いる。
恐れていた複数体いる魔物ってやつだ。
その中でも一際大きい蜂に合わせて鑑定スキルを使う。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
名称
オオスズメバチ(クイーン)
説明
巨大蜂の女王
強力な風属性魔法を使用する。
品質
45
特性
女王の威厳
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
オオスズメバチって名前だけど、私の知っているやつとは大きさも何も違う。
しかも、クイーンって付いているってことは、あれが女王蜂なのね。
大きさも、私くらいはありそう。
ってことは周りの二周りくらい小さいのは兵隊蜂かな?
周りのも鑑定してみるとそのとおりだった。
兵隊の方にも風魔法を使用するってのがあったけど、強力なとは付いていなかった。
一体なら倒せそうだけど、流石にあの数はちょっと厳しいかなぁ。
隙を見て花の一本くらい取れればいいんだけどあの魔物たちは花のそばから離れる様子がない。
私に気が付かない可能性もあるけれど、少なくとも女王は魔法を使うって書いてあるし、魔力が多い可能性もある。
それにクイーンには初めて見る、特性ってやつもついてる。
女王の威厳ってのからして、なんか特殊能力持ちみたいな感じなのかな?
うーん、やっぱり今の装備だと厳しいかなぁ。
悩んだ挙げ句、私は、一旦アトリエに戻ることにした。
帰って一気に討伐する錬金術アイテムでもベルに聞いてみよう。
カナのことを考えると、急ぎたい気持ちもあるけれど、急ぎ過ぎて失敗は良くないからね。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます