第16話 異世界転生する小説

「それで? 異世界が関わる小説ってどんなのがあったの?」


 お説教を喰らった後、話を仕切り直すことにする。


「何か私に参考になりそうなやつとかあったの?」


 ありそうなら聞いてみたいね。

 あいにく私自身はそういうのあんまり読まないからね。

 ゲームも、ミドリに付き合って少しやるくらいだったし。


「うんっとね。一日だから、あんまり時間はなかったけど、とりあえず、有名どころは軽く読み直したかな」


 なんでも、死んだら最初からやり直す能力のやつとか、とんでもないチート魔法をもらって無双するやつとかあるらしい。


「ひとまず、冒険系のやつを優先したけど、異世界でのんびりするやつとか最近は色んなのがあるよ」


「異世界転生モノってそんなに種類あるのね……」


 なんだか聞いてると、色んな手法が使われてるんだなぁという気になってくる。


「定番どころは、やっぱりトラックに引かれて異世界転生ってのが主流かなぁ。ってハルもそうだっけ?」


「そうだけど、まぁ、考えてみたらほんと小説みたいなことやってるよね私……」


 神様からチート能力もらって、活躍する話。

 うん。他人事じゃないね。


「まぁ、妹が心配だからどうにかしろって神様脅してまで戻ってくる人はそうそういないんじゃないかな?」


 地球に何も未練がないのであれば異世界で活躍というのもありだけど、私にはカナがいたからね。

 別段、地球での暮らしに不満があったわけでもないし。


「調べればあるかも知れないけど……、調べる?」


「いや、いいよ。少なくとも私の今は小説じゃないわけだし。むしろ、ミドリが私テーマに小説書けばいいんじゃない?」


「いやいやいや、流石に親友が死んだことネタにできませんて……」


 文才もないしねとミドリは笑う。


「まぁ、いいや。そんなわけで、色々とそういう小説とか調べて定番になりそうなことをまとめてる最中だから、出来上がったら渡すね」


 なんでも、色んな小説読み漁って、必要そうなことをまとめてくれているらしい。

 確かに、街に行ってからの行動とか、先人の行いは約に立つかも?

 まぁ、色々あるだろうし、参考程度にってのがいいとは思うけど。


「あ、それと、錬金術系のも調べるから。こっちは、ゲームとかもあるから先の話になりそうだけど」


 錬金術も異世界で何作ったら有用かとかあったら助かりそう。


「うん。よろしく」


「任されました。それで、ひとまず今話しておきたいことがいくつかあるんだけど……」


「聞きましょう」


「えっと、長くなるけど、時間大丈夫?」


 自分に鑑定を使って魔力量を調べてみる。


「うん。まだ、まだ大丈夫そう」


「そう! それじゃね、まず、異世界転移したらやるべきことなんだけど!」


 ミドリからの異世界講座は長かった。

 凄い長かった。

 途中あくびが出そうになるのを我慢しつつ頑張って聞いたよ。




 頑張って長時間聞いた結果、魔力がそろそろまずいことになってきた。


「そろそろ帰るよ」


 私がそういうとミドリは悲しそうな顔をする。


「まぁ、明日も来るから。それまでにまた色々と調べておいてよ」


「うん。わかった。異世界のこともそうだけど、錬金術が出てくるのとかも調べておくつもり」


 錬金術で何を作ったらいいとかそういうのがあったら教えて欲しいかな。

 今はカナのことで手一杯だけど、せっかくの能力があるんだから色々と試してみたいという気もしているし。


「あ、ところで、ヒーリングポーションってまだ残ってるの?」


 ないならまた作ってこなければならないし。


「うん。少し混ぜただけだったからまだまだ残ってるよ」


 なるほど。


「足りなくなりそうだったら早めに言ってね」


「了解」


 それじゃあ、帰ろうかな。



「それじゃあ、また明日……、ってそうだ!」


「また明……なに?」


 お願いがあるの忘れてた。


「そろそろ、携帯の充電が切れそうなんで、充電器が欲しいんだけど」


 ガラケーが長持ちすると言っても、不安なことにか変わりない。

 やり取りをしていくのなら、充電器は必須だろう。


「おっ? 私のを貸そうか?」


「それじゃあミドリが困らない? それに向うじゃ電池がないから充電できないし……」


「それじゃあ充電器があっても充電できないんじゃない?」


「いや、モバイルバッテリーがあればできるんだけど、その感じじゃミドリは持ってないか……」


「モバイルバッテリー? それ高いの? どこかで買える?」


「うーん、そんなに高くはないし、コンビニで買えるよ」


「そんなのコンビニに売ってるんだ……」


 まぁ、コンビニの電池とかのエリアは見ない人は見ない場所だろうし、知らなくてもしょうがないかな。


「お金は私の鞄から取ってくれればいいよ。どうせこっちじゃもう使うことないだろうし」


「そんな……、まぁ、お金はどうにかするよ」


 この感じじゃ使ってくれないかなぁ……

 まぁ、あとでちゃんと払うことにしよう。

 明日自分で鞄漁るでもいいかな。


「うん。まぁ、よろしく。適当に数字大きいの買ってくれればいいから」


「うん。よくわからないけど、任されました!」


 若干不安だけど、まぁ、いいかな。


「それじゃあ改めて帰るよ。また明日」


「うん。また明日」


 ミドリが手をふるのを見つつ、私は帰ることにした。



 目が覚めて、昨日と同じように真っ暗だった。

 やることもないので、またすぐに寝ることにしたよ。


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