第14話 呪われ状態?
ふわっという感覚とともに、私は自分の家に降り立った。
二度目の転移だけど、まだちょっと慣れないなぁ。
私の家の状況は昨日と同じだった。
時計を見てみると、時刻は朝8時を過ぎたところだった。
あっちを出たときの私の感覚が正しければ、だいたい半日ずれたってところで確定かな?
さて、カナの様子はどうかな……
昨日カナがいた部屋に向かう。
扉をすり抜けるとそこには昨日と全く同じ様子のカナがいた。
いる場所から体勢までまるで変わっていない。
黒いモヤをまとってるところも一緒。
だけど、こころなしか昨日よりも黒いモヤが薄い気がする?
昨日は私に寄ってきてたけど、それもない。
ひょっとしてミドリに渡した昨日ヒーリングポーションの結果だったりするのかな?
そうだ、この状態のカナに鑑定使ってみたらどうだろう。
何か詳しいことわかるかもしれない。
鑑定を使ってみる。
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名称
カナ
説明
ハルの妹
悲しみにくれた結果悪霊にとり憑かれ負属性のオーラをまとっている
状態
呪われ
虚脱Lv3
絶望Lv5
残魔力
50%
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状態ってやつになんかいっぱい憑いてる!?
呪われとか絶望とか、マイナスっぽい単語が目白押しだ。
どう考えていい感じはしない。
なんかLvってのが付いているけど、これどのくらい酷いんだろう?
でも、逆に言えば、この特性がなくなればカナを助けたってことになるってことだよね。
帰ってベルにもう一回相談しよう。
なんて考えていると、昨日と同じくモヤが私の方に伸びてきた。
おっと、動きは遅いみたいだけど、しっかり反応しているみたいだね。
残念だけど、退却するしかないかな。
また明日も来るから、とカナの方に告げて私は部屋を出た。
それにしても、鑑定って結構色々わかるんだね。
それに、鑑定するものに応じて結構表記とかも変わってきてるし、知りたいことに答えてくれてる感じだったりするのかな?
おっと、それじゃあ、試しにこの私に使ってみようか。
あっちでも自分に使ったけど、複製体の方は何か変わってるかもだし。
使ってみた。
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名称
ハル(複製体)
説明
錬金術師
ハルによって作成されたハル自身の複製体
残魔力
95%(70%)
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おっ? やっぱり表記が微妙に変わってる。
複製された体ってのがきっちり分かる感じだね。
でも、この残魔力の95%(70%)ってなんだろ?
このカッコの70%……
70っていう数字で思い当たるのは、本体から複製体に与えた魔力量。
あー、そういうこと?
つまり、本体から70%の魔力を与えられた複製体でそれを100%としての残り95%ってことか。
なんか分かりづらいね。
えーと、確か、本体の方を下回ると戻されるんだっけ?
じゃあ、こっちの残魔力がどのくらいになったら戻されるんだ?
計算してみる。
こういうのは比率から計算すればいい。
つまり、
複製体が100%の時に、本体換算で70%。
複製体がX%の時に、本体換算で30%。
比率にすると、100:X = 70:30 でいいはず。
で、これを計算すると……
ええい、紙が欲しい。
ざっくり計算すると……だいたいX=40強くらい?
まぁ、だいたい50%切ったら危険水準って覚えておけばいいかな。
というか、そう考えると、95%って5分くらいしかこっちいないはずなんだけど、もう5%減ったってこと?
……いや、神様が言ってた状況とはだいぶ違うし、これは多分鑑定スキルを使った魔力消費だろう。
指輪の魔法も、結局私の魔力で発動しているわけだし、消費するわけか。
2回使ったわけだけど、その分かな?
ちゃんと時間消費量把握したいなぁ……
おっと、いけないいけない。
無駄に計算で時間を使ってしまったし、考えるのは後にしておこう。
今は、ミドリと連絡を取らなければ。
ミドリの家の洋食店は昼11時30分から開店する。
軽く仕込みくらいはしているはずだけど、流石にまだしてないはず。
じゃあ、ミドリはどこに?
そういえば、ミドリは今こっちの家に住んでるとか言ってたかな?
私達の部屋にはいなかったから、両親の部屋かな?
試しに両親の部屋に入ってみる。
両親の部屋は、遺品整理をしたときからあまり変わっていなかった。
ただ、部屋の真ん中に布団が引いてあり、そこには横になってスマホを見ている女の子が一人。
ミドリだ。
スマホで何か読んでるみたいだけど、もしかして、またメール見てたりしないよね?
不安になったのでそっと後ろから覗き込んで見る。
画面に文字が並んでいる。
けど、メールではないみたい。
これはWeb小説かな?
ミドリそういうの好きだもんね。
まぁ、いいや。
とりあえず、声をかけ……念話の魔石はまずいよね。
カナが反応するとは思わないけど、ここで驚かせるのはまずいかな。
だったら、また神社に呼び出すほうがいい。
すぐに、メールを出す。
内容は、『神社で待ってる』って簡単にした。
ミドリは着信音にビクッとしつつもメールを見る。
私だとわかった途端にミドリが嬉しそうにしながら立ち上がり、部屋を出ていく。
それにしても嬉しそうだなぁ……
私に会うのにこんなに嬉しそうにするなんて、いや、嬉しいけど。
後ろから見てました、なんて言ったらどんな顔するかな?
そんなことを考えつつ、私もそれに付いていくことにした。
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