第2話襲来

 研二と英丸は遥か昔滅んだと言われているメガフィス帝国について研究していた。


「これが届いた研究材料だ」


「これは刀?」


 研二は広められた研究対象の品から錆だらけの長いものを手に取った、


「この湾刀、日本刀でしょうか?」


「柄のデザインなんかは完璧にそうじゃな、こっちの」


 英丸は錆だらけの短いものを持ち、


「これは銃みたいな見た目じゃ、どっちも少なくとも2千年前のもののようだが」


「しかし、2千年前はどちらも記録上開発されていないのでは」 


「うーむ、不思議だ、そして海底調査で見つかった遺跡のその壁画の写真なんじゃが」


 封筒から写真を数枚取り出し、デスクに並べる。そこには数多くの動物や昆虫が人々を襲う様な光景を描いた画、巨大な怪物が人を食べる画、城の見た目の建造物とその地下に巨大な空間そこに動物達がいる画、そして2頭のリュウが描かれている画1頭は黒い西洋で描かれる竜、もう1頭は白い東洋で描かれる龍だった。  


「変ですね、東洋と西洋のリュウが一緒に描かれているなんて、しかも大昔の壁画に、こんなの見たことありません。」


「うーん、太平洋や南半球にあったと大陸があったっと言われているがアジアやヨーロッパと繋がりを持っていたのか」

 


 さらに英丸は地下空洞の写真を指差し、


「見てみろ、この写真だと大陸の下に空間があるのを示唆してるんじゃないかの」


「えっ、じゃあもしかして大陸は沈んだとされているけど、生き残りが地下で生きていると?」


「うむ、何人かの知り合いの研究者もそう言っている。しかも今も生きていて再び世界を支配しようと企んでいる」


「そんな、本当にそうだとしたらどうするんですか?」


「まぁまぁ、わしの知り合いにそれを調べている組織を統治している奴がおる、何かあれば頼れば良いじゃろ。あぁちょっと下に行ってくる」


 英丸は部屋を出て階段を降りていった。研二はそのまま研究を続けていた、


ガシャーン!


「!?」


 唐突に窓硝子が割れた、研二は驚きながらも割れた窓硝子に近づいた、


「なんだ急に、誰かのイタズラか?」


 落ちた破片を片付けようとしたとき、


「ヘッヘッヘッヘッヘッヘッヘッヘッ」


 部屋中にゲスな笑い声が響く、


「な、なんだ、誰なんだ誰かいるのか!」


 壁から保護色を解いたキャメレオンが姿を現す、


「ウッ!」


 研二は恐怖からその場で体が動かずにいた


「お前は我々メガフィス帝国について調査しているのか」


「しっ、知らない何のことだ!」


「嘘をつけ、ここにある壁画の写真が証拠だ。龍峰研二お前は知り過ぎた我々と来てもらおうか。」


「だっ、誰がお前みたいな化け物と!」


研二は部屋を出て逃げようと扉に走った


「逃がすか」


 キャメレオンは口から長い舌を発射し、研二の首に巻かれ、その舌を手繰り寄せ研二を捕まえた


「さぁ来てもらうぞ」




 少しした後英丸が研究室に戻って来た、荒らされた部屋の中を見て驚愕する


「!?、こ、これは何じゃ一体何があったんだ。おーい研二くんどこにいるんだ、おーい!」


 そこで床に奇妙な足跡を見つける


「ふむ、足跡?人間のではない気味が悪いわい。人間じゃない…まさか、こうしちゃおれん!」


 英丸はズボンのポケットからスマートフォンを取り出すとどこかに連絡をとった



 場所は変わりここは山岳地帯滝ヶ岳その地下、メガフィス帝国に対抗するため結成された組織EGESTの基地が広がっていた。そしてその一室、多数のモニター、多数のコンピュータをオペレーターが操作している作戦室そこで電話が鳴る、


「はい、早川です」


 電話を取ったのはスーツを着た壮年の男性だった。


「あっ、早川くんか、わしじゃ、桂だ」


「ああ、桂さんしばらくです。」


「そんなことより、ワシの義理の息子の研二くんがさ、攫われた。もしかしたら奴らが、奴らが来たんだ」


「なんですって!ええぇ、はい…わかりましたすぐに動きます。」


 英丸からの電話を切った早川という男は部下を呼んだ


「黒部隊員」


「はっ!」


 現れたのは三十代前半で黒髪の男性だった。


「桂さんの義理の息子の研二さんが攫われた、現場に奇妙な足跡があったそうだ。おそらくメガフィス帝国が連れて行ったかも知れない。捜索を頼む。アーマーの着用を許可する」


「わかりました。伊織、私達の出番だ準備はいいね?」


 黒部と呼ばれた男は青髪のポニーテールの女性に話しかけた、


「はい、いつでも大丈夫です。」


 そして2人は部屋を出て桂邸へと向かった。



 桂邸に到着した2人は現場となった部屋を調べていた。


「侵入した形跡は窓、出たのも窓から、そしてこの足跡。動物?いや、爬虫類みたいだ」


「しかも大きいですね。人間くらい、ううんもしかしてそれ以上」


「そいつが一匹で、研二さんを攫っていったのか」


 調べている2人に英丸が話しかける。


「の、のぅやっぱり研二くんはメガフィスに攫われたのか」


「ハッキリとは言えません。しかし、相手は明らかに人間ではなく、爬虫類しかも成人男性を持って移動出来る程の力がある。想像を超えたモノです」


「EGESTにもお二人のようなメガフィス帝国調べていた科学者が何人も行方不明になったいると報告が来ているんです。」

 

「ということは今度はワシも、」


「可能性は十分です。ですので我々と一緒にご同行を願いたいのですが、ご家族の方も一緒に」


 すると麗が慌てた様子で部屋に駆け込んで来た。夫が連れ去られたと連絡を受けて急いで職場の高校から帰宅してきた


「お義父さん、研二くんは!?」


「今この人達が調べてくれているよ。ワシも狙われている可能性が高いからこの人達の下にワシらヲ保護してもらうことにする」


 伊織が近づいて言う


「メガフィスについて調べている学者やその家族にも被害を受けてるので、是非我々とご同行をお願いします。」


「はい…」


 麗は消え入りそうな小さな声で返事をかえした


 了解を得たことを確認した黒部は尋ねる


「桂さん他にご家族は?」


「孫が一人いるんじゃが、もうすぐ帰って来るとは思うんじゃが」


「心配ね、あの子」





 学校を終えたライは小学校の教室で下校の準備をしていた。


「バイバイ〜」 


 次々と友達が下校する中、教科書を詰め込み、鞄を背負い教室を出ていざ自分も下校しようとしたとき、


「トイレ行こ」


 下校前にトイレがしたくなり、男子トイレに入り、用を済ませ手を洗う、そして手を拭くためにハンカチを取り出そうとズボンのポケットに手を入れたとき、固く尖ったものに指が触れた。取り出してみると菱形の透明なクリスタルがあった


「あっ、今朝家の廊下に落ちてた」


 改めて家族の誰かのモノなのかなと考えていると


 キュイイイィィィーーン


 手にしたクリスタルが高速で振動し、徐々に光り始めた


「!?、なっ何!わっわわわわわわ、手熱っ!」


驚いて、アタフタとしているとクリスタルの光が四方八方に閃光を放ち始めた


「アワワワッ、うそうそうそ!」


 とにかくなんとかしようと踏みつけたり、水道の水で冷やしたりどうにもならないクリスタルに慌てていると人の声がした。談笑をしながら数人の生徒が近づいて来ていた。


「〜〜〜!!」


(人に見られたら大変だー!)


 そう考え、急いでトイレの個室に入った。その間も振動と閃光は強くなる


「止まれ、止まれ、ッあーーこの!」


 個室の中では閃光の光が全身を包む程になっていた。


「もういい加減に止まってくれーーー!!」


 その瞬間クリスタルが掌から浮き、ライの身体に吸い込まれる様に入って行った。


「オェ」


 激しい不快感が身体を襲い、しゃがみ込んだ


「ひいー、何だよ、うー気持ち悪い。ていうか身体に入っちゃった」


 不快感で身体を動かすことが出来なかった


「フー、フー、フー、フー」


 息を整え、少し時間が経つと不快感が消え、立てるまでに回復し、


(まいったな、こんなんじゃ保健室の先生に言っても信じてもらえないし、ママやおじいちゃんになんて言えばいいの?)


 個室から出て、トイレの扉を開けようとしたとき


ゾクッ


「!?」


 今まで経験したことない感覚、胸騒ぎを通り越した悪寒のようなものだった、そして


「ッ!!」


 父親が人間ではない怪物に攫われる、そんな光景が一瞬見えた。


「父さん!」


 その瞬間ライは走り出した、今見えた光景、そして身体を襲った悪寒、この2つから良くないことが起こる、もしくは起こった、そう考えた。


(早く、早く家に戻らなくちゃ…)


 校庭、校門を過ぎ、家までの帰路を全速力で駆ける。と、ここで不思議に思うことがあった。走り出してここまでほぼ止まらずに走り続けているが、全く疲労を感じない。息を切らすことなく走れている。そして走るスピードが速い。普段なら歩いて30分の通学路を体感時間で5分もかからず3分の2まで来ていた。途中すれ違う通行人達が驚いた顔で見てきたのを覚えている。ライは体力は並にあるが、足は決して速いわけではない。しかし、そんなことは後だと家までの帰路を駆け抜けた。


「ただいま!」


玄関を開け、母親の下に駆け寄る。


「ああっ、ライじつは」


「お父さんは!どこ!怪物は?」


 麗と英丸は動揺を隠せなかった。ライに対してこれから父親が攫われたことを説明しようとする前に父親の居場所を聞かれた、しかも怪物に攫われたことも絶対に知らないはずなのに怪物のことも聞かれた。動揺しつつも英丸が尋ねる


「お、お前誰から聞いたんじゃ?」


「わかんないけど、今朝家の中で拾ったクリスタルがピカッと光って、それが身体の中にドバッと入って、そしたらお父さんが怪物に攫われるとこが見えて慌てて走って帰ってきたら、チョー速く走れて」


「ご家族は皆揃いましたか?」


 黒部が英丸に話しかける。


「おじいちゃんこの人達は?」


 軍服のようなデザインの服を着た黒部と伊織を見て、見知らぬ人と思い、英丸に聞いた


「うむ、お前の言った通り父さんが怪物に連れてかれて、今度はわしかお前達を狙って来るかもしれんからこの人達のもとに保護してもらうとこになった」


「家から離れるの?」


「父さんが戻って来ない限り、しばらくはそうじゃな」


「さぁ、ライ急いで荷物を纏めて」


 麗にいわれると自室に行き、大きめの鞄に着替えやゲーム機、漫画を詰め込んだ。そして黒部のもとに戻ると


「皆さん準備できましたね。それでは我々の基地にご案内します。」


 そして黒部の運転するワゴン車にライ達は乗り込み、龍峰邸を後にした。




 研二を連れ去ったキャメレオンは尋問を行っていた。


 「さぁ、メガフィスの秘宝について知っていることを話せ」


 「ううぅ、し、知らない。な、何も、メガフィスが生きていたことも今知ったばかりだから


研二は左右両サイドをオークコングに抑えられ、逃げ出すことも抵抗も出来ずにいた。


「さぁ、数多の秘宝が何処にあるか教えてもらおうか」


「だから知らないと言っている。話を聞け、それにお前達についてまだ殆どわかっていない!」


「ならばお前と同じく研究をしていたもう一人の男とお前の家族を連れてくるしかない。」


 研二は目を見開いた


「な、なんだって!やめろ、義父さんや妻や息子に手を出すな!」


「いいや、止めぬ。オークコングよそいつを連れて行け」


「は、放せ!おい家族に手を出すな」


 研二はオークコングに何処へと連れてかれた


「奴の家族は今何処に?」


「EGESTの隊員に連れられ自宅から離れているようです」


「うむ、EGESTには攻撃をかけるなと言われたがあの家族は何かを知っているとオレのカンが言っている。よし、襲撃をかける準備をしろ!」


 オークコング達は襲撃のための準備を行うために慌ただしく動きます始めた




 












 





 




















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