第5話

 かなりの部分で、ひと、だった。

 からだつきも、肌の質感も。やわらかさも。


「すごいでしょこのにのうで」


「いやまぁ、たしかにやわらかいけども」


「自信作らしいですよ。パパとママの」


「パパとママ」


 あのかわいい女と格好いい男か。


「まず話を聞かせてくれ。いやにのうではもういいから」


「そうですか。じゃあ次はふくらはぎを」


「いらないってば」


 あっほんとだやわらかい。にのうでとは質感がちゃんと異なってる。ちょっと筋っぽいというか、ちゃんとなかに筋肉があるのがなんとなくわかる。


「じゃあ話を聞かせてください」


「えっ俺?」


「にのうでとふくらはぎさわったでしょ。その分です」


「無料じゃないのか」


「何の任務で、誰から請け負ったものですか?」


 べつに、ここに不開示義務はない。というか、そういうどうでもいい任務は受けない。


「任務は行方不明のロボットの回収あるいは破壊。依頼元はこの街のお偉いさんだよ」


「街のお偉いさん。パパとママではなく?」


「そう。パパとママではなく」


 ってか、パパとママって何。


「あ、そっか。その説明からか。わたし、部署の人間の遺伝子をもとに作られてます」


 は?


「クローン、ってことか?」


「いえロボットです」


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