第10話死人花雲に浮かびし船見遣る

 死人花雲に浮かびし船見遣る



 秋の季語:死人花しびとばな


死人花は、曼殊沙華(彼岸花)の別名です。

他にも、天蓋花てんがいばな、幽霊花、捨て子花など、

ぎょっとするような別名があります。


秋はお彼岸がありますが、ちょうど、この時期に彼岸花が咲きますね。

燃えるような赤い曼殊沙華は、ぞくりとするような美しさを感じます。


彼岸花がお墓に植えられた理由は、モグラのような生き物に、

墓を荒らされないようにするため。

昔は、土葬でしたから、ご遺体を守るためでもあったんですよね。

彼岸花には毒があるため、生き物が近寄れないそうです。


さて、今回の俳句には、「月」が入っておりません。

秋の季語として「死人花」を選びました。


お墓の付近に植えられた「死人花」たちは、空に浮かぶ船を見遣ります。

「船」は三日月から連想させました。


船を見遣るだけなのか、はたまた、船に乗るのか。

生きている私たちにはわからなくても、


雲に隠れては現れる月は、ご存じなのかもしれませんね。







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