第9話ここにあり遥か彼方の月の石

 ここにあり遥か彼方の月の石



 秋の季語:月


1970年、大阪万博で月の石が公開されました。

当時の万博では、行列ができ多くの方が目にしましたね。

夜空に浮かぶ月を見ていた私は、月の石と聞いたとき、

やさしいイエローを思い浮かべていました。


科学の進歩はありがたいものの、おとぎ話の世界が崩れていくようで、

子どもの私にはちょっと寂しい気持ちにもなりました。


月にうさぎはいない。

かぐや姫もいない。

雲には乗れない。

土星のわっかにも、やっぱり乗れない。


未知なる世界が目に見えるようになり、うれしい反面、がっかりした気持ち。

もしかしたら、そのせいで、理数が苦手になったのかしら?


それでも、沸き起こる空想は、大人になってもおとなしくはなりませんでした。

そのおかげで、創作に携わり続け現在があります。


科学で解明されたといっても、解明されていない部分もあります。

次はどんな発見があるんだろう。

今では、科学の進歩を心待ちにするようになっています。


遥か彼方の月の石は、人間が考えるようなことには、

ちっとも興味がないのでしょうけど。


もしかしたら、いつか月に還る日のことを考えているのでしょうか。

ふくらむ月を見て、さめざめと泣き続けたかぐや姫のように。



 

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