一国の動乱のさなかを生き抜いたとある女性の物語

一国の歴史を手紙という媒体を使って、簡潔にしかし的確に描写する筆力にまず圧倒されました。
王族の思惑によって左右される侍女ソーキの運命はそのまま国の行く末と重なるわけですが、その中で彼女がどう変化して成長していくか、手紙という媒体を通じて読み手は見せつけられるわけです。
下手な書き手であれば何万字も費やして書いてしまうような内容を、あっさりと一章につきたった数千字で表現してしまう才能に舌を巻きました。できれば彼女の寿命が尽きるまでの間に書かれた手紙全てに目を通したいところです。

そして登場人物たちの名前の付け方がまたユニークというか、ひねりが効いているというか…。こちらも感服しました。最高です。