第35話 GWは疲れます

 

 GWは、千佳の家の別荘を使わせてもらった。理由は何処も宿が空いてなかったからだ。まあGW一週間前に探して見つかるのはスイートルームクラスしかない。


 俺達にはとても無理。という事で千佳がお父さんに我儘を言って、二泊三日の日程で一条家の別荘を使わせて貰う事になった。

 益々、一条家の中に組み入れられていく感じだ。



 そこは電車で駅まで言った後、三十分歩くかタクシーを利用するかだが、俺達は勿論歩いて行った。



「ふふっ、雄二、二人きりだね」

「でも結構寒い。東京は半袖なのにここでは長袖が無いと」

「私が温めてあげる」

「えっ?」


 また、抱き着かれた。千佳は、こちらに来てから奔放になった様だ。彼女の内側にこんな性格が住んでいたとは知らなかった。


「雄二、もっと」


 夕方になると奔放な性格が目覚めるのか、千佳は人が変わったように求めてくる。あれ足りるかな?


 ふふっ、雄二に抱かれていると幸せを感じる。東京では、彼に抱かれていてもやはり周りの事が気になって仕方ない。でもここならいくらでも自由にして貰える。来て良かった。

  

 一杯抱いて貰うんだ。雄二も私も随分積極的にするようになった。初めてした時から比べると信じられない位。

 そして、する程に体の中から何かが目覚める感じがする。だからここでは理性のタガを外している。

 頭の天辺から足先まで突き抜ける様な意識が遠くなるほどの感覚。声もまったく我慢しなかった。

 雄二、来てもっと…。



 

 朝になると千佳は、元の彼女に戻る。朝食を摂って別荘の周りを散歩したり銀座通りにショッピングに行ったりと彼女らしい姿になる。まあこれで彼女の気持ちが爽やかになるなら。


 でも、いつも都会の風景しか見ていなかった俺には、とても新鮮だ。駅からの銀座通りは賑やかだけど、この別荘付近は木に囲まれて静かだ。ここに来て良かったと思っている。



 そんな素敵な時間は直ぐに過ぎて帰る日がやって来た。

「もっと居たかったなぁ」

「ははは、十分じゃないか」


 俺の体が持たないよ。あれは大目に持って来て良かった。三箱消えたよ。寝る時間よりもあの時間の方が長いんだもの。参った。

 でも千佳は平然としている。こういうのって女性って強いのかな。俺将来どうなるんだろう?



 俺達は、東京に戻り、一度千佳の家に行って彼女の荷物を置くと俺の家に来た。俺は家に入り窓を開けて空気の入れ替えをすると

「千佳、買い物に行かないと冷蔵庫の中が何も無い」

「うん」



 二人で駅のスーパーに買物行きながら

「雄二、GWの残りは私が毎日ご飯作ってあげる」

「でもそれは、無理じゃない」

「大丈夫。朝午前七時に来て、夜八時に帰ればいいだけ。今は陽も長くなって来たし、雄二が送ってくれれば問題ないわ」

「俺は嬉しいけど」

「じゃあ、決まりね」



 彼女は別荘の余韻が残っているのか、昼間でも俺を求めて来た。夜は出来ないからという理由で。

という訳で珍しくというか初めてGWに机に向かう事が無かった。大丈夫かな勉強?




 GWも終わり、竜馬も一緒に大学で午前中の講義を聞いた後、いつも混んでいる学食で食べた。

 食事が終わり芝生で座って話をしていると、俺達の方にやって来る三人の姿が目に入った。いつもの事かなと思ったけど、どこかで見た記憶がある。


「あっ、居た居た。やっと会えたぜ」

「そうだね。久しぶり高槻君、一条さん、坂口君」

「お久」


 俺が誰か分からずにポカンとしていると竜馬が

「もしかして榊原と堂本さんと安西か?」

「正解。流石坂口だ。良かったよ。三人共知らなかったらどうしようかと思ったよ」


 依然付いていけない俺と千佳に

「高校一の秀才でイケメン、美女がこの大学に居るは聞いていたけど、全然会えなくて三人で探していたんだ。俺は榊原賢二、理三だ」

「私は堂本陽子、榊原君と同じ理三よ」

「俺は安西洋介。理一だ。宜しくな」


 凄い優秀な人ばかりじゃないか。


「一年次はみんなここで基礎教育受けるから会えるだろうと思っていたんだ。同じ高校だから会いたかったんだ」


 そいう事か。


「俺は…」

「紹介はいいよ。あの高校で一番のイケメンで頭脳優秀な高槻雄二に紹介は要らないよ。それにそっちは一条千佳さん、高校一の美少女にして頭脳優秀。そして二人が恋人同士って事も有名だからさ」

「まあ、坂口は二人といつもいる友達ってとこかな」


 なるほど。


「なあ、せっかくだから連絡先交換しないか?偶には会って話もしたいし」


 俺は千佳の顔を見ると

「良いわよ。雄二も坂口君も良いでしょ」

 珍しいな。千佳ってこういうの好きだっけ?


「良かった」


 六人がそれぞれの連絡先を交換すると

「俺達は次の講義が始まるからまたな」


 そう言うと三人共一緒に離れて行った。姿が見えなくなってから竜馬が


「何か台風みたいだったな」

「ああ、でも千佳が連絡先交換するとは思わなかった」

「あの時断ったら雰囲気不味いでしょ。嫌なら後で消しても良いし」

「いや、それは不味いよ。関係を拗らす原因になる」

「まあ、二人共。あの三人は無害な方だから。高校でも三人共優秀だったし。お前達は気付かなかったかもしれないけど、上位トップファイブを外した事ない連中だからな」

「気が付かなかったわ」

「そりゃ、二人共上しか見ていないから気付かないよ」


 俺も気付かなかった。千佳は婚約者だし友達と言うと竜馬だけだからな。大学で知り合いが増えるのは良い事か。



 七月末に試験が控えている。それが終われば長期の夏休みだ。基礎教育の過程は、家での予習復習だけで充分に理解できる。後期の履修も考えないといけないが千佳はどうするのかな。


―――――


面白そうとか、次も読みたいなと思いましたら、ぜひご評価頂けると投稿意欲が沸きます。

感想や、誤字脱字のご指摘待っています。

宜しくお願いします。

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