第15話 取り巻き
「そこの角を曲がったら、すぐに新人さん達が見えて来るよ」
それだけ言うと、メリストスは身体を軽やかに翻した。
(あれっ? 副隊長さん……?)
「あの……この先へは?」
「僕の案内は、ここまでだよ。後は、一人でも行けるね?」
「はい。でも……」
(どうして、副隊長さんは、この先には行かないの?)
「実は、僕はこう見えても、女性が沢山群がっている様子が苦手でね。君も、僕と同行しているより、一人の方が、周りに対して気楽じゃないか?」
角を曲がった所から、微かに耳に届いてくる女性達の声で構えていたメリストス。
「そうですね、確かに……」
(何人もいそうな女性達の声がしてくる。それなら、尚更、帰り道に迷って、副隊長さんに道案内してもらったなんて事を周りに知られたくない……)
「ルウリーシア、また次回会う時まで」
「あっ、はい、ありがとうございました、副隊長さん」
「メリストスでいいよ。それじゃあ」
メリストスが戻っていくのを見送り、ライリーシアの元へ向かおうとした。
(ミリディアと同じで気さくなタイプだから、やっぱり、メリストス呼びでいいのね。それにしても、ライは、どんな事をミリディアと話したのかな? 私とミリディアの会話にかかった時間よりも早く戻って来たから、もっと簡単な内容だったのかも知れない。少なくとも、私のように悩ましい内容では無かったのだと思う……)
角を曲がった瞬間、ルウリーシアの目に飛び込んで来たのは、ライリーシアと彼を取り囲むように群がっている複数の女性達。
(あれ……? さっきまでライと私が一緒にいた宇宙空間を眺められる所に、このピッタリフィットの隊員スーツ姿の人達が沢山集まっている! どうしたのかな? 何か、ライの身に遭ったのかも……?)
ルウリーシアが近付くに従い、集まっている人達は、先刻のミリディアと同様、胸の起伏がハッキリした女性ばかりだと分かった。
「ライ……?」
「ルウ、随分遅かったね。そんなに、何を話していたの?」
ライリーシアがルウリーシアに向かい歩み寄ると、彼を取り巻いていた女性達が、睨みつけるような視線を彼女に向けて来た。
(何なの……? 私、何か、悪い事した?)
「ライ、あの女の人達はどうしたの?」
困惑しながら尋ねたルウリーシア。
「僕が、新入りだから分からないと思って、親切に話しかけてくれたんだ。本当に沢山の星からの出身者達が参加しているんだね」
ルウリーシアの戸惑いをよそに、女性達の接近を好意的に受け止めている様子のライリーシア。
(親切に……って、ライは違和感無く捉えているけど、私には違和感しか無い! さっき、私が一人でライを待っていた時には、誰一人として、親切に私には話しかけてなんて来なかったのに! どうして、ライが一人でいる時にだけ、こんなにも女性隊員達が群がっているの……?)
相変わらず、自身に向けられる視線を痛感するルウリーシア。
(そりゃあ、ミリディアとの話が長引いていたかも知れないけど。まさか、その間に、こんなにも知らない沢山の女の人に、ライが囲まれているなんて……あっ! もしかして、これが、さっきミリディアが言っていた、異性から感じられる魅力度が、ライの方が高いという事なの……?)
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