第13話 それでも、一緒ならば
(強制送還……アクエリーシア星へ、強制的に戻されてしまうの?)
ミリディアが何度も躊躇いながら話を進めていた理由が分かり、愕然となったルウリーシア。
(そんな……それじゃあ、私が、今まで何の為にずっとフロンティア活動に参加する事を夢見ていたのか、意味が無くなってしまう。しかも、それって、まさか適応出来なかった一人だけが……?)
そこが、ルウリーシアには何よりも引っ掛かった。
「強制送還……って、ツインレイの片方だけですか? それとも、二人共ですか?」
ルウリーシアの動転した眼差しを受け、伝え難そうな表情のミリディア。
「それは……どちらの前例も有ったわ。でも、多分、あなた達の場合は、後者になるかも知れないけど、まだ分からないわね」
「分からない……?」
ミリディアの返答のその部分だけが、ルウリーシアに特に不安を与えた。
(
「ライリーシアからは、それほど不安を感じられなかったのよ」
「……」
自身と同様、ライリーシアも戸惑いを感じていると思っていたルウリーシアには、ミリディアの言葉が信じられなかった。
(どういう事……? 私が、こんなに不安なのに、ライは違うの? 私は、今すぐ、ライと一緒なら強制送還でも構わないと思っているのに、ライは、そんな事ないの?)
「それは、あなたの今の気持ちを知らないせいかもね」
ルウリーシアの動揺を感じ取り、慌てて言葉を加えたミリディア。
(隊長さんにも、気を遣わせてしまっている……私だけが、この環境にも適応出来なくて、地球へのこれ以上の参加は無理と、レッテル貼られてしまっているの? もしかして、ライは既に溶け込んでいて、私との強制送還より、宇宙船と地球での生活の方を望んでいるのだとしたら……)
「最初は、私が、地球へのフロンティアを熱望して、ライを説得していました。でも……乗船して、今、いろいろ話を伺っているうちに、何だか自信が無くなって来ました」
肩を落として、やっと聴き取れるかどうかの声のルウリーシア。
「そうね、今までツインレイは常に一緒に行動していたのに、いきなり離されて、今までと違う未知の環境に足を踏み入れたのだから、不安なのは当然よ。私達は、そういう参加者達の心の動きを敏感に察知して、事前にケアするのも大事な仕事の一つよ。だから、いつでも気軽に相談に来てね、ルウリーシア」
親しみを込めた眼差しで、ルウリーシアの両手を握ったミリディア。
「ありがとうございます、ミリディア隊長」
「だから、私の呼び方は、ミリディアでいいわよ。他のフロンティア隊員達からも、そう呼ばれているわ」
ミリディアが、思いの外フレンドリーな隊長で安心したルウリーシア。
それでも、ミリディアが話した内容は、1つ1つどれもルウリーシアの心配の種となって、心にずっしりとのしかかっていた。
(ミリディアは良心的に、私へのアドバイスしてくれただけと思うけど……本当に、そんなに心配されるような立場なのかな、私って?)
会議室を出て、元居た甲板に戻るまでは、言われた内容があまりピンと来なかったルウリーシアだった。
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