第12話 もう一つの選択肢
「あの、つまり、どちらか一方が、他方よりも異性から感じられる魅力度が高い場合に、今まで異常が発生していたという事ですか? わ、私達の場合に置き換えると、ライの方が、魅力度が高い可能性が有ると……いう事ですね? ミ、ミリディア隊長は、私が、その最悪の状況になると、
湧き上がってくる疑問をしどろもどろの口調で、ミリディアにぶつけたルウリーシア。
(どうも、発声で内容を伝えようとすると、気持ちが興奮しているのも有るせいで、頭の中で考えている事を口に伝達するのが下手過ぎる感じになってしまうけど、私の気持ちは、ミリディアに通じたかな? 発声に慣れなきゃならないのは分かっているんだけど……つくづくテレパシーが楽だったって、今更ながら感じさせられる!)
「ふふっ、発声に苦労しているようね、ルウリーシア。私の事は、ミリディアでいいわよ。そういえば、ライリーシアも発声は苦手そうだったわ!」
(そんなの仕方ない! ライも私も、アクエリーシア星ではテレパシーでずっと会話をして来て、発声は、フロンティア隊を志願した時からしか練習してないから。宇宙船に乗って、突然テレパシー取り上げられたからって、すぐに全発声のこの状況に慣れるわけがない!)
ミリディアの言葉に、ムスッと反応したルウリーシア。
「ライにも、記憶消去の事を話したのですか?」
(ううん……それは無さそう。だって、ミリディア曰く、ライは私とは立場が違うそうだから、そんな事を話す必要なんて無いはず)
ミリディアに言われる前までは、自分達に優劣が生じるなどと思いもしなかったルウリーシアだったが、話を聞いているうちに、だんだんその状況に飲み込まれそうになっていた。
「ええ、話したわ」
「話した……?」
「もしかしたら、あなたが記憶消去を望む可能性が有る事を。そして、それ以外の選択肢も1つ有る事も」
(ミリディア、私が記憶消去を望む可能性が有る事をライに話したんだ……えっ、それ以外の選択肢も有ったの……?)
「もう一つの選択肢……?」
(私、まだ話してもらってなかったけど。なんだ、記憶を消す以外の解決法も有ったのね! だったら、そっちから言ってくれたら良かったのに!)
「その選択肢は、どのような事なんですか?」
「なるべくなら、その状況は避けたいけど……もう一つの選択肢は、母星への強制送還よ」
溜め息混じりに答えたミリディア。
もう一つの選択肢を伝えられるのが、後回しになっていた理由が、やっと飲み込めたルウリーシア。
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