第10話 執着心

 ミリディアが説明していた、他の参加ペア達の状況が、よく飲み込めないルウリーシア。


(執着が無い……って、どうして? 私が、ライに執着が無い状態なんて、全く考えられないのに!)


「ツインフレームやツインソウルという言葉は知らなかったですが、ツインレイ以外のペアも有るというのは、私も、どこかで聞いた事が有ります」


「そう、その情報は知っていたのね、良かったわ。ツインレイのように、一対一ではなく、人数が複数いるのよ。ツインフレームは7人、ツインソウルは12人もいるわ」


(ツインフレームが7人、ツインソウルは12人。ライの他に、そんなにパートナーになる男性が存在しているなんて……!)


 その人数の多さに圧倒されたルウリーシア。


「もしも、私にも、そういう存在が複数いるとして、その男性達が同時に、束になって私にアプローチして来たとしても、私はライ以外の人とは無理です!」


 きっぱりと断言したルウリーシアを困惑顔で見つめるミリディア。


(今までだって、アクエリーシア星で、どんなに眉目秀麗な男性に出逢っても、ライ以外に全くときめいた経験なんて無かったし、これからだって、きっと……)


 それほど、ルウリーシアにとって、ライリーシアの存在は大きく、唯一無二と思っていた。


「あなた達の出身星のような水瓶座星系は、特にツインレイに対する執着が強いようね。でも、地球を含め、大多数の惑星はとても恋愛に関して解放的で、ツインレイがいても、他のパートナーとの自由恋愛を認めているのよ。特に、これから行く地球は、特に女性にとってはキツイわよ。一夫多妻なんて所も有るから」


 断固として揺るがない気持ちを示すルウリーシアに、同情混じりの眼差しを向けて来るミリディア。


「一夫多妻!」


(ライが沢山の女性パートナーに囲まれている状態なんて、想像したくない!)


 一夫多妻制が有るという事を知らされ、愕然となったルウリーシア。

 

「それにね、見たところライリーシアは、女性に好まれやすい容姿をしているから、この宇宙船の有志達も、早々にライリーシアに目を付けている女性は多いと思うわ。それだけじゃなくて、地球では、同性愛も許容されている時代や地域も有るのよ。容姿上、彼は男性からも狙われそうね」


(ライに、沢山の女性だけでも考えたくないのに、それどころか、男性にまで

狙われるなんて!そんなの絶対にイヤ!)


 ルウリーシアとって予想外の悪い状況なだけに、耳を塞ぎたい気持ちになっていた。

 

「アクエリーシア星では、今まで、そんな事なんて無かったのに……」


(こんな事が事前に分かっていたら、ライを説得までして地球のフロンティア活動に志願しなかったのに! 私が期待していたような事とは、かなりかけ離れているし、ライばかりが、引く手あまたになるような状態なんて。そんなの嘘に決まっている!)


 テレパシーが使えず、ミリディアの心を読む事は出来ないが、その表情に視線を向けたルウリーシア。


(きっと、この隊長さんは、こういう話を持ちかけてみて、私がどう反応するか試しているだけかも知れない!)


 楽観的に対応しようとしたルウリーシア。


「それで、ルウリーシアには提案だけど……アクエリーシア星始め、ツインレイとの結び付きが強い星々からの志願者に対してのみ、『記憶削除』をお勧めしているの。今までの記憶が有るせいで辛い気持ちになるのだから、それを消去しておくと、これからの行程がスムーズに行くわ」


(記憶削除……? ライとの思い出は、これからの私にとって、何にも代え難い大切な宝物なのに……私は、地球でどんなに距離が離れていても、そのライとの思い出を胸に、試練を乗り越えて行こうと思っているのに! その幸せな思い出を私の記憶から削除する事なんて、出来るわけ無い!)


 ミリディアの提案に、抵抗しか感じないルウリーシア。

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