第9話 今までとのギャップに


 宇宙船に乗船した時点から既にテレパシーが禁じられている事に、ルウリーシアは戸惑いを示した。

 お互いの意思疎通が出来なくなるのは、地球に上陸してからだと勘違いし、覚悟がまだ出来ていなかった。


(ライと一緒にいられなくなるのは分かっていたけど、その分はテレパシーで補って、気持ちを伝え合うつもりでいたのに……宇宙船内から、それすらも許されないなんて……でも、これって、資料に書かれていた事に反しているわ!)


「あっ、アクエリーシア星で目にした資料には、地球には若干テレパシーを使用できる人々もいるような事が書かれていましたが……」


 資料の内容と、ミリディアの話のどちらが真実なのか、確認しようとしたルウリーシア。


「確かに、テレパシーを使える人々がいる事はいるわ。ただ、彼らは、フロンティア隊として参加した人々ではなく、地球に文明を気付く為のエンジニアとして派遣された特定の星系の入植者達よ。彼らはフロンティア隊と違い、出身星と同様の能力を身に付けたまま地球入りする特別な人達なの」


(私達、フロンティア隊とは違う特別な入植者達……)


 自身の認識不足のせいで、抱いていた淡い期待も消え去った事を痛感したルウリーシア。


「こ、これからはもう、私達は発声でしか伝える事が、出来ないんですね……」


「そうね。だから、相手の表情をよく見る事が、今までより大切になるわね。顔付き、パーツ的には、特に目から気持ちを読み取る事に早く慣れる必要が有るわ。あっ、そうそう、話は戻るけど、さっきの魅力度の件ね。これは、ツインレイであっても、個体差が生じるのよ」


 気を落とした声でやっと発声しているルウリーシアに同情しつつも、告げるべき事を優先したミリディア。


「ツインレイでも、個体差……?」


(どうして、差が……? アクエリース星では、ツインレイというと、他の誰もが不可侵の神聖な間柄だし、2人は対等なレベルとして存在しているのに……)


「ツインレイは、知っての通り1対1で存在している究極のパートナー同士よ。でも、他の星からのフロンティア隊有志達は、ツインフレームやツインソウルという複数の魂の相手も揃っていた星々も有るのよ」


(ツインフレーム……? ツインソウル……?)


 アクエリーシア星で聴き馴染みの無い言葉に、首を傾げたルウリーシア。


「それらの星系では、その時その時で、恋愛して過ごす相手は自由で、誰も咎めたりしないのよ。だから、今回のフロンティア隊も、例えパートナーと一緒に志願していても、それほど自分のパートナーに執着が無いわ」


 乗船している他のフロンティア志願者達のパートナーは、この世で、たった一人しか存在していないツインレイではなく、複数存在しているツインフレームや、それよりも多く存在しているツインソウルの異星人達もいた。

 ツインレイ同士が志願者として参加するものだとばかり思い込んでいたルウリーシアには、まずその件から驚かされていたが、何より、自分のパートナーに対して執着が無いという事態が、理解出来なかった。

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