第4話 初めてのくちづけ
アクエリーシア星式の愛情表現で、しばらくの間、互いの愛を確かめ合った後、二人は、ゆっくりと額を離した。
「オーロラの応援も有ったせいか、いつもよりずっと満たされた感じ! ライは、どうだった?」
「オーロラのおかげもだけど、口論で消耗した後だから、余計に良かったのかも知れない。これなら、しばらくの間、ルウと一緒にいるような余韻が残っている」
「それが、再会出来る時まで、続いてくれたらいいのに……」
ライリーシアのエネルギーが身体に残る幸せな感覚に酔いながら、ふと呟くように言ったルウリーシア。
「離れていても、僕らは一つという気持ちは、どこに行ったの、ルウ?」
「意地悪ね、ライったら!」
少しの間、膨れっ面を見せていたルウリーシアだったが、ふと、思い出したように翡翠のような美しい瞳を輝かせた。
「知ってた、ライ? 地球人の愛情表現は、額ではなく、口と口を付けるそうよ」
ルウリーシアが、得意の好奇心で溢れそうな口調で話した。
口が愛情表現に使われるとは、初耳で驚いたライリーシア。
「えっ、口? 地球人は、僕らのように肌から大気のエネルギーを栄養源に出来ないから、口で飲食するのは知っていたけど……」
「そうなの。テレパシーも使わないから、話さなきゃならないし、栄養を取り込むために、食べたりするだけでも忙しいパーツなのにね!」
「更に、その口で愛情表現までするとは! それほど、地球人にとって、口の果たす役割は重要という……」
そう言い続けようとするライリーシアの口を塞ぐように、ルウリーシアが軽く唇を合わせてみた。
「こんな感じなのかな……? どう……?」
予期せぬルウリーシアの行動に、目を見張ったライリーシア。
「そうだね、悪く無いかも……不思議な感触がまだ残っている。でも、ルウが他の人を相手に、それをするのはイヤだな」
これから先の地球でのそれぞれが別々の人生を歩むのを想像して、目をルウリーシアから背けようとしたライリーシア。
そのライリーシアに再び、そっと唇を重ねたルウリーシア。
「私が愛しているのは、どんな広い宇宙の中でもライだけ! 地球で何度生まれ変わって、どんなに姿形や考え方が変わっても、私は、未来永劫ずっとライを愛している! これから先、色んな星の人々と出逢う事になるけど、私には、ライ以上に愛せる人には出逢うなんて事は絶対に無いから! 心配しないで、ライ!」
「本当かな? 僕よりも、ずっと男らしくて魅力的な異星人が現れたら、ルウは、心変わりしない?」
ルウリーシアに比べ、ネガティブな性格という事を自覚しているライリーシアは、ルウリーシアと似たようなポジティブな性格で、もっと相手を強引にリードするような異星人に、ルウリーシアが魅了されてしまうのではないかと気がかりだった。
「そんな事には、絶対ならないから! 私は何度生まれ変わっても、ライへの愛だけは忘れない! だから、ライも私の事をずっと覚えていて!」
自分の想いは変わらない自信が有ったルウリーシアだったが、ライリーシアは、心配性だから、自分よりももっと、ライリーシアの気持ちに寄り添える優しくて女らしい異星人が現れたら、その人に気持ちを持って行かれないかと気になった。
「そんなの当然だよ! 僕がルウ以外の人なんて愛せるわけがない!」
そうハッキリと言い切ったライリーシアに、安堵の表情を浮かべたルウリーシア。
「ありがとう、ライ! 何度も生まれ変わるうちに、私達、もしかしたら、またどこかで、巡り逢える事が有るかも知れないわ! フロンティア活動を頑張っているから、そのご褒美みたいな感じで、そういう転生も用意されいるかも知れないじゃない? 私は、その時の転生の時を楽しみにしながら、地球で生きていく!」
「そうだね。ここでのように、僕らが愛し合う事が許される転生も、サプライズ的に有るかも知れない! その時が来るまで、僕も、ルウへの愛をいつも心に留めて生きていくから!」
今後、別の人生を歩む事になる二人にとって、そう思い込むより他は、搔き乱される心を鎮める手段が無かった。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます