最終話 ─仕返しの代償─


 ─愛梨邸─


仕返し屋とのやり取り後─

愛梨は部屋から出なかった─

幾度となくかかってくる聡子からの着信に怯えながら─

ただひたすら、その時を待った─


愛梨「…20時まで…あと少し…あと少し…」


📲♪〜(聡子からの着信)


愛梨「…ひいっ。…っ…大丈夫。もうすぐ20時… もうすぐ20時…」


ピロリンッ♪


愛梨「…きたっ!仕返し屋さんからのメール!」


愛梨「LIVE配信用のURLだよね!」


愛梨「……」


愛梨「…もうこれで… いじめられる事もなくなる…」


愛梨「……あはっ…どんなふうに仕返ししてくれるのかな! 楽しみ♪」


愛梨は添付されていたURLをクリックする─



──────────



薄暗い、病院のような施設─

手術台のようなところに、拘束された聡子が映っていた─


愛梨「…あ…聡子…」


カメラ越しに拘束された聡子に近付く仮面の男─


愛梨「…なにか持ってる…?」


カメラ越しで、愛梨からは男が持っているものが見えなかった─

先にそれに気付いたのは聡子だった─


聡子「やめてぇ!!たすけて!!」 


愛梨「ひゃっ!…びっくりした…」


聡子「だれかぁ!!おねがいっ!!」


愛梨「…なに?…なにを持ってるの…?」


聡子「やめてっ!おねがっ…あっ…」


愛梨「─え…うそ…」


男が聡子にその物を近づけた時─

はじめて、愛梨もそれがなにかを確認できた─


愛梨「─チェーン…ソー…」


聡子「ぎゃあああああぁぁーーーーーっっっ!!!!!」


愛梨は思わず目を背けた─

響き渡る無常な機械音と共に発せられる聡子の絶叫─

愛梨は恐ろしくて画面を確認できない─


「ぅぎゃあああぁぁぁーーーっっっ!!!」


非日常的な聡子の絶叫が再度響き渡る─


愛梨「うぅっ!」



──────────



静かになった─


愛梨は、どうなったのか気になるが、とても画面を直視できずにいた─


ピロリンッ♪


運営「LIVE配信はいかがでしたか? 仕返しが完了致しました 評価と承認をお願い致します」


愛梨「…っ…仕返し屋さんっ…!」


愛梨「…聡子はっ?聡子はどうなったんですか?」


運営「おや?LIVE配信はご覧になれませんでしたか?」






─彼女は死にました─






愛梨「……えっ…?…」


運営「あなた様の事を追いかける足は不要かと─ 両脚をフトモモより切除したところ、いわゆるショック死というものです─」


愛梨「……うそ……ですよ……ね……?……」


運営「いえ。本当です。あなた様の依頼により、彼女は死にました。」


運営「でも、ご安心ください─ 。死体の処理はこちらで滞りなく済ませておきます。ご依頼、ありがとうございました。またのご利用をお待ちしてます─。」



──────────



─愛梨邸─


愛梨「…うぇっ…うぇっ…」


愛梨「………」


愛梨「…はぁっ…はぁっ…気持ち…悪い…」


愛梨「…っ……うぇっ…うぇっ……」


愛梨「…死んだ…聡子が…っ」


愛梨「…ここまでする…必要あった…?…」


愛梨「…ぅっ……うぇっ…うぇっ……」


愛梨「…わたしのせい…?…」


愛梨「……」


愛梨「……いや……」


愛梨「…わたしじゃない…」


愛梨「…わたしのせいじゃない…」


愛梨「…第一、悪いのは聡子じゃんか… いっつもわたしにひどいことしてさ…」


愛梨「…そうだよ!わたしが気にする必要なんてない…」


愛梨「……ははっ…やった……これでもう、なにも心配する事なんてない…。安心して学校行ける…。やった。あースッキリしたっ!」


──────────


翌日の学校は、昨日の出来事など誰も知る由もない─。驚くほど日常通りで平和な時間だった。


ホームルームにて、担任より聡子が昨日より家に帰っていないと両親から学校に連絡があった。知ってたり心当たりがある者は申し出るように─ との話が出たくらいで、あとはいつも通りの日常─。


─だった─。放課後までは。


放課後、愛梨は帰路に付こうと、校門を出ようとしたところで、担任より呼び止められる─



担任「おーい、桜井!待ってくれ!」


愛梨「─はい、なんでしょうか─?」


担任「─なんかな、お前にお客さ───」











─えっ?─


─あれっ?─


─わたし、どうしたんだっけ?─


─たしか、帰ろうとしてて─


─そうだ、先生に呼び止められて─


─近づいてきたと思ったら、急に意識が─


─ここ、どこ?─


─車? 移動してるの?─


─!手が…縛られてる…─


─!足も…


─口にも…これなに?テープ?─


─これ目隠し? なにも見えない─


………


…だれかが…話してる声がする…


…!先生?…先生の声だ…


…電話? だれと話してるの…?



担任「ボス、桜井愛梨を捕えました。以後どのように。」


仕返し屋運営「よし。」


運営「すでに某国のマニアに買い手が付いている」


運営「自殺防止と、口でのお遊び用に全抜歯。

逃亡防止のため、四肢切断を御希望だ。

一週間後、移送する。準備を進めろ」


運営「それまでは、そいつはお前の好きにしていい。抵抗するなら多少薬を使ってもいい」


運営「ただし、四肢以外の体には傷付けるな。とくに顔は絶対にだー。値打ちが下がってしまうからな。」


運営「あと、依頼にはなかったが、子宮の摘出と、処女膜再生はやっておけ せっかくのオモチャが、万が一すぐ妊婦にでもなったら、お客様の士気が下がってしまう。処女膜再生は、大切なお客様へのサービスだ」


担任「さすがボス 承知致しました」


担任「─そういう訳だ─ 桜井、かわいそうだが… あきらめるんだな」


愛梨「ーんーーーーっ!んーーーーんっ!!」


担任「…抵抗するなら、多少の薬の使用はOKだったな…」


愛梨「んーーーーっ!!…………」


愛梨「………」


担任「…よーし、いい子だぁ」


担任「…それにしても、ロリ顔の上、男をくすぐるいい身体をしてる… 買い手がつく訳だ…

わたしには 1週間しかないのが惜しいが…

たーっぷり、かわいがってやるからな!」


愛梨「……………」










………


…やめ…て…っ…


…おね…が…い…っ…


…ゆ…る…し…て…


…だれか………










─2ヶ月後 都内某所喫茶店─

─女子高生2人の会話─




ねぇ、「仕返し屋」って知ってる?


仕返し…屋さん?なにそれー?


お兄ちゃんから聞いた都市伝説


なんかね、お金を払うと、嫌がらせとか、仕返しとかを代わりにやってくれる組織なんだって


なにそれ!おもしろそう

ちょっと調べてみよっかな♪

えっと…仕返し…屋…っと…


ムリムリ!

普通の検索ではひっかからないよ

ホームページは存在するみたいなんだけどね

闇サイトみたい


おぉーっ!闇サイト!かっこいい響き!


でも普通の検索で辿り着けないんじゃ、

普通の人じゃ依頼できないね?


それがね、聞いた話だと、特定の条件を満たした若い女の子のところに、あたかも広告のようにポッと載せるみたい


ポッと笑 特定の条件って?


かわいい

セクシー

いじめられっ娘


あちゃー 大変 わたし全部あてはまっちゃってる


どこがじゃ笑

ひとつもあてはまらないわ笑


ひどーい笑


でもね、やっぱり組織は闇でね…

仕返し屋は表向きの顔…

その正体は、若い女の子を薬漬けにして、海外のマニアなんかに売り飛ばす人身売買組織なの…

1度依頼したが最後─ 秘密保守のため、依頼者は後日かならず消されるって…


ひいっ!消され…

っでも、もし買い手が付かなかったら??


解体されて、臓器売買─


ひいいっ…こわいっ…


2ヶ月くらい前ね、うちらの近くの高校の女の子が2人、行方不明になったんだって…


その2人は仕返し屋に関わってたんじゃないかって話だったよ…


…やばいね…


って!まあ都市伝説だからね!

以上!怖い話でしたー!


…おぉ、ほんとに怖かったよ…


さ!ご飯も来たから食べよー!


…食欲なくした…怖くて…



黒服の男「お嬢さん方、お話し中ごめんね」


─はいっ、なんでしょう?


黒服の男「さっきの話がちょっと聞こえちゃってね。えっと、仕返し屋って言ったかな?」


黒服の男「私、小説を書いてる者で─ もしよかったら、私にも詳しく教えてくれないかな? 次作の参考にしたくてね」


─はぁ、でも─


黒服の男「お願いだよー、ここはご馳走するからさ!ね?」


え!おごってくれるんですか?

それなら、どうぞどうぞ!


ちょっとぉ…


黒服の男「ありがとう!それじゃ、聞かせてもらおうかな。仕返し屋と、人身売買組織について。

ゆっくりとね────」






─同時刻─

─都内某喫茶店から発信された1通のメール─


To ボス


組織の噂話をしていた女子高生2名

新たなターゲットとします

画像送付します

ご確認よろしくお願い致します





仕返し屋

─あなたの仕返し代行します─











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仕返し屋 ─あなたの仕返し代行します─ HIROKI526 @Akai_Saiko

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