第30話 リベンジ
あれから二日経った。笹崎先輩は学校へは姿を見せなかった。真白の話によると家からも出ていないらしい。まぁ、あんな騒ぎを起こしたのに普通に登校できるわけがないか。
俺は今、あの時みたいに陣を描いている。でも、前に比べて大きな陣を描いているから思っている以上に大変だ。体調を万全にするとは言ったものの日毎に痛みは増している。奏多さんにはどうにかバレないようにしているけれどこうもひどいと何かの拍子にバレそうだ。こうやって陣を描いているだけでも息が上がるし今にも倒れそうになる。でも、あの妖たちのためにも倒れることなんてできない。
「悠加、順調かい?」
「はい、後少しで完成です」
「くれぐれも無茶をしてはいけないよ?」
「分かってます」
もしかしたら奏多さんには色々バレているかもしれない。ここって時に声をかかえてくるんだから。
「人間、結界はまだもつ。急がなくてもいい」
「ありがとう、でも何かあるか分からないから早めに対応するほうがいい。後少しで準備も終わるから大丈夫だ」
「そうか、だが無理はするな」
「うん」
妖たちは全員が歓迎してくれているわけではなかったが山神さはを解放するために手伝ってくれている。
「よし、できた!陣が完成しました!」
「全員配置につけ!なんとしても山神様を解放するぞ!」
「「「「おお」」」」
気合いは十分。後は俺が頑張って解放する。失敗は許されない。
「悠加、無理はしてはいけない。無理だと思ったらすぐ下がるんだよ」
「はい、奏多さんもサポートお願いします」
「うん、任せて」
黒いナニカを封じ込めていた結界が解かれた。ここからが勝負だ!さぁ、来い!
ズルズルと引きずる音が聞こえる。そして触手が飛んでくる。でも、奏多さんの守りは完璧だ。触手は結界に弾かれてる。やっと出てきたと思ったら、前に見た時よりも大きくなってる⁉︎
気のせいなんかじゃない。奏多さんをチラッと見ると奏多さんも驚いている。でも陣を大きく描いたから問題はない。黒いナニカは俺を認識したのかゆっくりとしたスピードでこちらに向かってくる。そのまま進んで陣の中に入った!
俺は詞を唱える。
「我は導くもの。汝があるべき姿へ放つものなり。我が意聞き届けば汝は帰らん、あるべき姿へ!」
陣が光を放ち、黒いナニカを覆っていく。後はこの黒いもの全てが剥がれ落ちるまで俺が持ち堪えるだけ。だけど、痣が熱を持ちさっきより痛み出した。これはマズイ。息が上がる。少しでも気を抜くと倒れそうだ。
「奏多!悠加!犯人がこっちに向かっとる!まだ終わらへんのか!」
まるでタイミングを狙っているみたいだな。流石に笹崎先輩の対応までは俺も奏多さんもしきれない。
「真白!まだ少し時間がかかる!なんとしてでも足止めをしてくれ!」
黒いものは段々剥がれてきているのにまだ時間がかかる。俺の方が先に倒れてしまいそうだ。心なしか光が弱くなっている。本格的にマズイ。倒れるそう思った時、俺は奏多さんに支えられていた。
「悠加、焦らなくていい。犯人の事は真白がどうにかしてくれる。僕も力を貸すからもう少しだけ持ち堪えてほしい」
「はい」
奏多さんに支えられてから少し楽になった気がする。それから光が弱くなっていた陣もさっきにまして強くなっている。きっと奏多さんが力を分けてくれているのだと思う。黒いナニカは段々小さくなっている。ちゃんと元の姿に戻ってきたのか黒いナニカ以外の輪郭が見える。後少しで全て終わると思った時目も開けていられない程に眩しい光が辺り一体を覆った。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます