第26話 行方
俺はホームルームが終わって早々に笹崎先輩に声をかけるため3年の教室に向かった。けれど、笹崎先輩の姿はなく近くにいる人に尋ねると授業中いきなり叫んだと思ったら教室を飛び出して行ったらしい。しかもまだ見つかっていないから教師陣もバタバタしているとのことだった。そして、その3年の先輩からも危ないから近寄ったらダメだと言われた。
俺は仕方なく学校を出た。できれば笹崎先輩に早めに接触して色々聞きたいのにこれでは完全に手詰まりだ。どうする?奏多さんに連絡を取りたいけれどあそこは圏外だし何より邪魔はしたくない。
「悠加」
「あ、真白!どうしてここに?奏多さんに何かあったのか⁉︎」
「アホ、なんかあったんはお前やろ。奏多からお前が動揺した気配がしたって聞いて俺が来たんや、早よ話せ」
俺は真白に今回の山火事の犯人を見つけたかもしれないことを話した。
「ならソイツ捕まえて聞き出したらええねん。どこにおんねんソイツ」
「それがどこにいるか分からないんだ。授業中にいきなり叫んでどこかに行ったらしい」
そう言うと真白は少し考え込んでから
「もしかしたらお前を取り込めへんかったから優先順位変えたんとちゃうか。犯人が先でお前が後」
「あ…」
確かにそれはあり得るかもしれない。きっと俺に接触してきた時だってそんなに力が残っていなかったはずだ。俺を取り込み損ねたから理性をなくす前に犯人に復讐する事を選んだ。もしかしたら笹崎先輩が変な行動をしていたのもあの痣のせいかもしれない。なら急がないと!
「真白、俺を奏多さんのところに案内してくれないか?きっと笹崎先輩もそこに向かっているはずなんだ!」
「アカン、お前を連れていく事はできん。奏多にも言われとるやろうが」
「頼む、真白」
俺は真白をまっすぐに見つめた。
「ううううっ、奏多にはお前から説明せぇ!」
「ありがとう真白!」
真白には後で美味しいスイーツをあげよう。
真白について走って行こうとすると
「今から走って行っても追いつけへんやろ。今回だけ特別や」
いきなり突風が起こって俺は目を閉じた。次に目を開けると
「えっ?ちょっ!わああ!」
「死にたくなかったらしっかり捕まっとけ!」
俺はギュッと真白の背中に捕まった。真白がいつもより大きくなって俺を乗せて空を飛んでいる。本当に手を離したら死ぬ‼︎真白が何か言っていたが力一杯真白にしがみついていた俺には何も聞こえなかった。
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