第25話 発見
奏多さんは黒いナニカを祓う為に準備をしに山へ向かっていった。俳優の仕事は大丈夫なのかと聞くとそちらは問題ないらしい。この辺はよく分からない。俺はというと痣は身体に出ているが体調は今のところ問題がないので学校に来ている。
「はる、もう体調は大丈夫なのか?」
「ああ、大丈夫だ。心配かけたな」
「なんか高校入ってからよく体調崩すようになったよな?本当に大丈夫か?なんかの病気とか」
「大丈夫だって。きっとそういう年なんだよ」
臣は納得いかないという顔をしていた。けれど今はまだ事情を話すことができない。でもいつか話せたらいいと思う。友達に隠し事はしたくないから。
「あ、はる!次の授業移動教室だ!お前が休んでる間に変更になった!」
「え?ちなみに誰の?なんの準備もできてないんだけど…」
「花ちゃん!今日は実験するんだって。まぁ、お前が休んでたの知ってるし大丈夫だろ」
俺は少しホッとした。もし花ちゃんじゃなかったら嫌味だらけのアイツの授業を一時間受ける所だった。
臣と急いで理科室に向かう。その途中で俺は見つけてしまった。
「はる!どうしたんだよ?まだ調子悪いのか?」
「なぁ、臣。あの人誰だか知ってるか?」
「ん、あのメガネをかけてる人か?知ってるぞ」
「どんな人だ?」
「お、遂にはるにも春が来るのか〜」
「違う」
「はいはい、でもあの人近寄らないほうがいいぜ。3年2組の笹崎貴子先輩。他の先輩から聞いた話だと相当ヤバい。ほら、みんな遠巻きにしてるだろ」
確かに臣の言う通りあの人が通る所がモーゼの十戒のようになっている。
「そんなに危ない人なのか?」
「これはあくまでで先輩から聞いた話だぜ。本当かどうかは俺も知らんけど」
そう言って臣が教えてくれたのは、笹崎先輩の両親が変な宗教団体にハマっていて、そのおかげでだんだんおかしくなっているらしい。元はあんな人じゃなかった。けれど、2年の後半から段々おかしくなって2年の最後には絡んできた人の手に噛み付いたり、殴ったりして停学処分を受けていた。
「まぁ、俺としてははるに関わってほしくない。何があるか分からないから」
臣はニッと笑いながら俺を見てくる。俺は本当にいい友人を持った。
「臣、ありがとな。歯に海苔がついてなかったら完璧だったのに」
「えっ?もっと早く言ってくれよ!」
「相手が俺で良かったな。身だしなみには気をつけろよ」
その時ちょうど予鈴が鳴った。俺は臣と走りながら笹崎先輩の事を考えていた。笹崎先輩には俺と同じ痣が顔に刻まれていた。そして、初めて見た夢で聞こえた『見つけた』は俺ではなく山火事を起こした犯人の事を指していたのではないだろうか。だから俺と同じ印を先輩につけた。俺を取り込んだ後に復讐するために。
俺は放課後に笹崎先輩に声をかけてみることにした。まだ犯人と決まったわけではないけれどそれでも俺と同じ印をつけられていると言うことはなんらかの関わりがあるはずだ。
俺と臣は廊下を走っていたところを教頭に捕まりお叱りをうけた後バッチリ花ちゃんの授業に遅刻していった。実験道具を持った花ちゃんは怖かった。
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