第3話 訪問?
あの後、俺を無視して頭を抱え続けたイケメン俳優 蒼井要は、スマホに連絡が入って我に返り遅刻すると大声で叫び走って行った。俺の事を完全に忘れて。俺は一体この状況をどう飲み込めばいいんだ?
モヤモヤを残しながら家に帰宅した俺はやる事を済ませてベッドに横になりながら昨日と今日のことを考えていた。イケメン俳優は置いとくとして、あの黒いナニカは妖なのか?でも俺が見たことある妖とはだいぶ違う。いつも見ているのはもっと形が定まっていたし、なんというかヤバそうな見た目のやつもいたがあんな黒いナニカみたいなのではなかった。アレは一体なんなんだ?足で踏まれているのを見る限り形が定まっていないウゴウゴ蠢いているもの。アメーバに近いな。もしくはスライム。
「だあああ、分からん」
考えれば考えるほど分からなくなっていく。もう蒼井要本人に聞くのが1番手っ取り早いがどうやって聞くんだ?相手は芸能人、俺はただの高校生。うん、ムリ。一か八かファンレターでも送るか。でも、なんか賞取ってたしイケメン俳優の目に俺のファンレターが止まるかどうか分からない。詰みだな。もう寝よう。俺の小さい頭じゃ考えきれない。お休み。
…コン……コン…コンコン…コン
「ん……」
コンコン……コン…コン…コン
「んーうるさい」
コン…コンコン……コンコンコンコン
「うるさいっ!」
コンコンコンコン誰だ!?人が気持ちよく寝てる時に!!時計を見るとあと少しで丑三つ時になる時間帯だった。時間を見た途端俺の怒りも冷めていった。あ、ムリだ。時間帯が悪い。俺は何も聞いていない。反応してない。
コンコンコンコン……コンコンコンコン
「……」
窓の外に何かいる。俺の部屋の窓の外にナニカいる。あの黒いナニカかそれとも別のナニカ。分からないけどきっとカーテンも窓も開けたらいけない。妖について調べた時に招いたら部屋に入ってきてしまうというのを見た気がする。だから何があっても絶対に無視。布団に潜ってずっとなり続ける音を無視しているうちに気づけば眠っていた。
朝、目が覚めて窓の外に何もいないかどうか覗いてみると何もいなかった。ナニカがいたという痕跡すら残って居なかったので夢かと思っていたがリビングに行くと母から
「ずいぶん面白い夢見てたのねぇ。大きな声が聞こえてお母さん驚いたのよー」
なんて言われた。夢じゃなかった。
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