エナードのエンディング

(描写)同日の夕方。チェーンの喫茶店で、エナードと霧谷は会話をしていた。空腹だったのだろうか、エナードの前にはケーキやパフェといった、スイーツの空き皿が何枚か積まれていた。


(霧谷)「ありがとうございます、エナードさん。これで依頼した案件は完了ということで」


(エナード)「お金になるからやってるだけだよ。でもこんなお仕事はもうこりごり、痛い思いするなんて言わなかったじゃない!」

「荒っぽいことはなしって言ってるのに……契約違反だよ、霧谷くん?」


(霧谷)「それはちょっと予想外だったといいますか……。ですが、彼らの危険性を説明しきれなかった所もありますね。お詫びをさせて下さい」


 (エナード)「じゃあここの会計お願いね。僕の検査とか、あの子たちの治療にかかったお金とかも。今はそれで許してあげる」


(描写)霧谷がレシートを確認すると、自分で頼んだコーヒーの他に、ずらりと並ぶ甘味の名前と料金があった。「これを全部一人で食べたんですか!?」と言わんばかりにエナードを凝視する。


(エナード)「僕のお気に入りの服まで使い物にならなくされてるんだからね。安い方だよ?」


(霧谷)「いえ、言った手前ですし、ちゃんと支払いますよ」


(エナード)「ふふ、ありがと」


(霧谷)「……それで、今後のことなのですが。彼らはまだこの街で何らかの活動を続けるようです。引き続き、あなたに調査をお願いできますか?」


(描写)調査を頼みたいという内容に、ケーキを食べるエナードの手が止まった。


(エナード)「……嫌なんだけど」


(霧谷)「オルバくんのことも心配なので、定期的な報告が欲しいというのもありますけど。あなたの情報収集能力を買っているんですよ、エナードさん」


(描写)一つの依頼が片付いたものの、仕事はまだ終わらないようだ。


(エナード)「あーもう、分かったよ! でもオルバのことは母さんに言って! あとその分とは別に、月イチでご飯奢ってもらうから!」


(霧谷)「それは流石に譲歩してくれませんか……?」


─ ─ ─ ─ ─ ─ ─


(霧谷)「ところで母さんとは?」


(エナード)「ルシア。N市の支部長さんだよ。それと、オルバとヴェータは僕の息子ね」


(描写)エナードの一言に、霧谷は目眩を覚えた。

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