ルシアのエンディング

(描写)事件が解決してから数日後、場所はとあるUGNの施設。ルシアと冬美の二人は、霧谷の執務室で事後報告を行っていた。


(霧谷)「ご苦労さまです。FHの計画を阻止してくれてありがとうございました。……綾瀬真花さんについてですが、彼女は適格者ではありませんでした。オルバくんの周囲にいたときのレネゲイド反応を誤認した可能性が高いです」


(ルシア)「ワーディングで気絶していた点からもそう言えるな。無事に元の生活へ戻せただろうか」


(冬美)「今回の件から記憶操作の手段を見直しましたので、それに関しては問題ありません!」


(ルシア)「それなら良かったよ」


(描写)UGNの記憶操作でも、事故による強いショックを潜在意識から消すことは叶わなかった。そのため、UGNに協力しているオーヴァードの能力を組み合わせることで効力を調整。以前よりも高精度な処理を行えるようになっていた。


(霧谷)「改善点も見つけてくれて助かりました」

「矢神秀人が彼女に固執したのは、彼にとって大切な人だったからでしょうね。しかし、ジャーム化によって正常な関係を維持できなくなってしまった。日常を失うとは、そういうことです」


(ルシア)「日常を失ったかどうかで判断すれば、あいつも被害者か。それでも、FHの甘言に乗った事実に変わりはないがな」


(冬美)「……」


(描写)もしFHに捕まっていなければ、矢神は以前と変わらぬ日々を送れたのだろうか。綾瀬と仲睦まじく過ごす未来もあったのかもしれない。しかし、それを摘み取ったのは他でもない矢神自身だ。

閉口する冬美に、ルシアは視線を投げる。


(ルシア)「あなたが気にかけることじゃないさ。奴は許されんことをした、だから我々と敵対した。それだけだ」


(冬美)「そのとおり、です」


(ルシア)「無礼を承知で言うが、あまり気負わない方が良い。今回の様に、割り切らなければいけない事態は類に漏れん。慰めになるかは分からんが」


(冬海)「……了解しました」


(ルシア)「だが、気負ってしまうその優しさこそ、冬美さんの善い所なのだろうな」


(冬海)「あ、ありがとうございます、ルシアさん!」


(描写)冬海があたふたと礼を良い、霧谷とルシアの表情が緩む。短い時間だが、執務室には穏やかな空気が満ちるのだった。

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