編入生

(描写)バス爆発事故の翌週。ヴェータは矢神秀人の専攻している学科の編入生として迎えられた。言ってしまえば転校だ。覚醒したばかりのオルバの護衛と監視、そして矢神秀人の調査の続行が目的である。半分は仕事だが、もう半分はいつものことなので内心喜んでいるヴェータだった。

ホームルームで簡単な自己紹介が終わり、無難な編入生を演じようとした。

……が、講義間の休憩時間になってオルバに捕まったため、それどころではなくなった。どうやらオルバには知らされていなかったようで、とても驚かれた。

それと同時に同じ学校に通える喜びが伝わって来たことで、ヴェータは何とも面映い心持ちになるのだった。


(描写)昼休憩の時間になり、どこか見覚えのある女性がオルバと会話をしていた。


(綾瀬)「──ねえ、オルバくん。あの、この間の事故のことなんだけど……」


(オルバ)「あの事故がどうかしたのか?」


(綾瀬)「…………ごめん、やっぱり今はいいや」


(オルバ)「分かった。無理に言う必要はないと思うぜ。気持ちが落ち着いて、話したいッて思ったら言ってくれ。その時は聞くから──」


(描写)オルバが綾瀬に答えていると、会話に割り込んでくる人物があった。矢神秀人だ。


(矢神)「オルバ君、綾瀬さんは事故のことで恐がっているんだ。君が話しかけるべきじゃないと思うよ?」


(オルバ)「、……悪ィけど、アンタ誰? 一回も話したこと無いよな、顔覚えてないからさ」


(矢神)「──は、」


(綾瀬)「オルバくん、彼は矢神秀人くんっていって、わたしと高校が一緒だったの」


(オルバ)「そうだったのか、ありがとな綾瀬さん。矢神サンね、覚えたぜ」


(矢神)「ど、どうも。兎に角、綾瀬さんを不安がらせるようなことはしないでくれよ。彼女は繊細なんだからな」


(描写)矢神の表情には苛立ちのようなものが見え隠れしていた。そう言い残し、何かを呟きながらその場から離れていく。矢神の礼を欠いた態度が癪に障ったのか、ヴェータは静かにオルバの視界から外れ、そのまま矢神に声を掛ける。


(ヴェータ)「随分と傲慢な態度だな」


(矢神)「……君、前にも会っているはずだよね? 僕とオルバ君が話してるのがそんなに気になるのかな。さっきから、こっちを見てたよね」


(ヴェータ)「初対面だろう。おまえを見ているのは、オルバたちに危害を加えないか、常に気を配らねばいけないからだ」


(矢神)「危害? 何のことだい? それよりも、学校ではあまり詮索しないでほしいな。平穏無事なキャンパスライフのためにさ」


(ヴェータ)(……まだ、今は耐えなければ)


(矢神)「フフフ、じゃあね」


(描写)話を終えると予鈴が鳴り響く。それぞれの教室へと戻り、講義を受けていれば時間は過ぎ、放課後となる。





オルバ→矢神秀人にロイス「変わった人 P:好奇心/N:無関心●」を取得


ヴェータ→綾瀬真花にロイス「観察対象 P:好奇心/N:不安●」を取得

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る