第2話 写真

雨の土曜日、仕事は休みだ。

久しぶりに自分のアルバムを捲る。

結婚式は今のところ考えていない。

二人だけで教会か神社の結婚の誓いをしたいと思っていた。

だから、結婚式で使うであろう写真も特に必要ないのだけど、、、結婚という節目を迎えて、少し自分の写真を見たくなった。


一枚の写真に目が止まる。

小学校の入学式の写真。

あの日は本当に緊張していた。

赤いランドセルを背負い、両親に連れられて初めて学校の門を潜った。

春香が生まれてから初めての3人でのお出かけ。

とても、ドキドキしていた。

あまり写真に映りたがらない母。

この日だけは父の強い勧めもあり、私と一緒に並んで写真を撮った。

母との二人の写真は私が生まれて直ぐとこの時の小学校入学式だけだ。

どちらの母も笑っていない。

カメラを睨みつける様に目がギラついている様にも見える。

私は母の事をあまり知らない。

母方の祖父母にもあったことがない。

母の事を知りたくて、小学生の頃はよく母に母の子供時代の事を聞いていた。

母は私の質問に「忘れた」と返事を返した。

ある質問だけには答えてくれた。

それは祖母のこと。

祖母がどんな人だったか尋ねたところ、母は心持ち悲しげな顔になった。そして、一言「厳しい人だった」と答えてくれた。

私は母が悲しげな顔をしたことで祖母の事はこれ以上聞けなくなった。それ以降、私は母に祖母について聞いていない。

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