第14話
「スイぃぃぃ!! あなた何してるのよ私のリリスにぃぃぃ!」
「仕方ないでしょー!? 水の妖精にとって水の環境は命よりも大事なんだから! リリスはその水の環境を救ってくれたのよ!? つまり私にとってリリスは命の恩人みたいなものなのよ!」
「ねぇ。私の肩に乗ったまま喧嘩するのはやめようよ……?」
「「リリスは黙ってて!!」」
「はい……」
毒で汚染されていた川の水は無事に元に戻ったのを確認した私たちは、妖精の集落の中心へと歩いている。二人の喧嘩を耳元で聞きながら。
二人は私の肩の上に座って、私の頭越しに喧嘩している。
原因はもちろん。さっきのスイのキスだ
まさか一日に二回も妖精にキスされるなんて……しかも好きって言われたよ。スイだって私と同じ女だよね?
「くぅぅぅ……ま、まあ良いわ。スイもリリスの魅力に気付いた。そういうことにしてあげるわよ」
「ふふふっ、そうだね……ねぇリリス」
片方から甘いささやき声が聞こえてきた。
正直、ミリアの怒り様からみて安心はできないんだけど……?
「スイ? どうしたの?」
「本当にありがとう。錬金術って私たち妖精の魔法よりもすごいかもしれないわね」
「そうかな? 私からするとスイたちの能力もすごいと思うけどね」
実際スイやミリアの協力が無かったら、あのポーションだって作れなかったよ
「私はダメダメ錬金術師だよ。王国に行けば私よりもすごい錬金術を使う人はたくさんいるよ?」
「確かにそうかもしれないけど……でも、リリスの代わりはどこにもいないよ」
スイは私の肩から飛び立って、私の正面にやってきた。
「例え私たち妖精の助けがあったとしても、あなたはミリアと私の危機を救ってくれたの。もっと誇ってほしいわ。私にとっても、あなたは立派でいてほしいの」
「スイ……」
「えへへ……こんなにドキドキしちゃうなんて、もっと早くあなたに会いたかった」
手を前で組んで恥ずかしそうにそっぽを向いたスイの羽は、いつの間にか水色からピンク色に変わっていた
それを見たミリアがまたヒートアップして、スイに飛び掛かった。
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