第13話

「それじゃあ、いくよ?」

「ええ……お願い」


ポーションが入った水筒を開けて、中身を川に入れる。川の水とポーションとでは水の量はかなり違うけれど、それでも効果はあるはずだ。


「……おおー!」

「すごい……」


私の左右で飛んでいる妖精二人の声が混ざる。

ポーションの効果はちゃんと発揮されたみたい。私がポーションを垂らした水面の部分から徐々に、透明な水が広がっていって。最後には水面全体が透き通った水に覆われた。

そして水面の下も、一気に透き通って川底が見えるくらい綺麗になった。


「良かった……」

「ちょ……リリスぅ!?」


へなへなと座り込んだ私にミリアが慌てて近寄ってくる。私が両手を差し出すと、ミリアはその上にペタンと座った。うん、やっぱりこの子……顔が良い

ミリアは心配そうに私の顔を見上げる


「リリス、大丈夫……?」

「あははっ、成功したって分かったら安心しちゃったみたい。しばらく休ませてよ」

「もう、心配かけさせないでよね」


私が笑いかけるとミリアも笑顔を返してくれた。そのミリアの横にスイもやってくる。


「まさか本当に痛んだ川を復活させるなんて……錬金術ってすごいのね」

「そうよ! 錬金術ってすごいんだからっ!」

「何でミリアが誇らしげなのよ? あなたも今日まで知らなかったくせに、まあミリアも一緒に協力したから無関係って訳でもないかっ」

「あはははっ。それでスイ、どうかな?」


スイは両腕を広げて、満面の笑みを私に向けた

この子ってこんなに純粋に笑うんだ……ミリアに向けたいじわるな笑みが印象強かったからかな。スイの笑顔が眩しいよ


「完璧よ! あなたって……リリスって、すごいのね」

「そんなことないよ。ミリアが手伝ってくれたんだし、スイだって協力してくれたからだよ」

「うっ……」


スイは頬を赤くした後、ため息をついた。

なんでそこでため息なんだろう


「あー……ミリアがああなった理由がよく分かったわ」

「え? ああなった? 理由?」

「ふふふっ。ありがとうリリス……」


スイはふわりと上昇して、ゆっくりと、私の顔に近づいてきて……そして

スイの小さな唇が、私の唇に重なった


「っ……!?」

「んっ……好き……」

「ああーーーーっっ!!!!!」


空気だけでなく水も澄み切った川辺に、ミリアの絶叫が響いた

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