第6話
「着いたわよ、リリスっ」
「うわー……すごい」
妖精のミリアの背中を追って数十分。私はちょっとした村に来ていた。
たくさんの妖精たちが、それぞれ思い思いに過ごしている
「妖精って、こんなにいたんだね」
「まあ人間にバレないような場所に集落を作ったらしいからね。詳しくは私も知らないけど、簡単に見つかるような場所じゃないわ」
ミリアは得意気に胸を張った。確かに誰も近付かない森の、それもうねった道を正しく進まないとたどり着けない所なんて誰も来れないよ。
「あれ、でも私なんかが来ちゃって良かったの? 私だって人間だよ?」
「リリスは特別だから良いの。あなたは私の……えっと、私を、助けてくれたんだからっ」
「あはは。ありがとう」
ゆっくりと集落を進んでいく。妖精という種族はのんびり屋さんが多いのかな。
木陰で身を寄せ合ってお昼寝をしていたり、宙を飛び回って追いかけっこをしたり、木の枝に座って木の実をはぐはぐと食べて幸せそうな顔をしている。
そんな妖精たちの様子は、まるで子どもみたいに見えるね
「ふふっ」
「むー……なんで他の子ばっかり見てるの?」
「なんだか可愛いなぁって思ったの。じゃれ合ったり遊んだりさ? 楽しそうだね」
「そう? 私たちはみんなこんなものよ。ほらちゃんと私を見ていないと迷子になるわよ?」
「はーい……ねぇミリア、何か怒ってる?」
「怒ってないわ! ヘンなこと言ってないで行くわよ!」
「うん……?」
何だかよく分からないけど、とりあえずミリアから離れないようについていくことにした。
人間の私が堂々と妖精の住処を歩けるのもミリアのおかげだろうし、はぐれたりしたら大変だよね
私の姿を見つけた妖精たちは、びっくりして目を白黒させたり、少し離れて後ろからついて来たり、指をさして何か言いあっている
ミリアと一緒だからか排除しようとはしてこなかった。この子と一緒で助かったよ
「ミリアっおかえりー……って人間っ!? どうしちゃったのミリア!?」
「ただいまスイ。この子はリリス。私のこっ……仲間よ」
「えーっと……こんにちは」
ミリアの元に別の妖精がやってきた。綺麗な水色の羽と服に思わず目を奪われる。
まあびっくりするよね。いきなり人間が現れたりなんかしたら
「……どうしよう!? ミリアが女の子ひっかけてきたっ!?」
「待って!? そういうつもりじゃな……いやちょっとは、いやほとんどそれがメインだけど!! 言い方ぁ! とにかくそんな言い方しないでぇ!」
「私、ひっかけられたの?」
「リリスも乗っからないの! こらスイ!?」
「へへへっごめんごめん」
スイと呼ばれた水色の妖精は、ミリアに上からのしかかられてじゃれ合っている。
ピンク色のミリアもだけど、水色の妖精なんているんだ。
ヘタに王国でこのことを伝えない方が良さそう。妖精狩りなんて起きたらかわいそうだよね
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