第17話 発想法(あまのじゃくが勝利する?)
世の中の人って、なんで、あんなに流行りもののマネしたがるんでしょうね?
今のテンプレの隆盛もそうなんだけど、鬼滅が流行れば、タイトルに『鬼』とつく鬼退治の話。今、薬屋のひとりごとがアニメ放映されてますが、カクヨムコン応募作品のなかに中華風ファンタジーで舞台は後宮、主役が薬師か毒見役っていうのを二作品見かけてしまった。
こういうのって、書いてるご本人はどう思ってるんでしょうね?
ストーリーが違うからパクりじゃない。鬼滅みたいな話が書きたかったから。薬屋みたいな話を書きたかったから。でも内容は違うから。ただのオマージュ?
まあ、それを書きたければ、二次創作にならない範囲内で書けばいいですよ。
ただ、僕がこれでいいの? って言うのはですね。これらを書籍化コンテストにぶつけるのはどうなんだろうって意味です。
だって、あそこまで売れちゃった有名な作品に似てるわけですよ。パクりとまでは言わないまでも、タイトルから言って、たぶんだけど内容も、アレでしょう?
キツイ言いかたをすれば、二番煎じです。もっとひどく言えば、劣化コピー。
だって、あれだけ売れた作品を、似た設定で超えられるわけがないので。超えられなければ、それは二番煎じでしかない。
なんでみんな、それを書こうと思うんだろう?
僕にはこれが不思議でしかたないんですよね。誰かに、何かに似てるものを書く意味って?
僕はとにかく自分にしか書けないものが書きたいので、何かに似てるものを書きたい心理がわからない。
流行りの作品に似たタイトルをつけとくと、ネットで検索されやすいってのがあるのかもしれません。その場合はたぶん、内容はまったく違うものになって……るんだろう。たぶん。
たしかにこれにはあるていど利点がある。というのも、僕の創作論の『カクヨムロイヤルティでお小遣いを稼ごう』のなかで、一話だけとびぬけてPVの高いのがあるんです。『書籍化ってほんとのとこどうなの?』ってやつもわりと高いんだけど、それでさえ7000PVとかのなかで、なぜか『ノベルピアというサイト』ってのが、この前チェックしたとき18000PVついてた。
僕のオリジナルの話なんかはですね。ファンの人しか読んでくれないから、一ページのPV高いのですら数百単位なんですよ。少ないエピソードなんか一桁だよ?
なのに、なんでこれだけ二万近くも読まれてるのか?
先日、ノベルピアが売りだった広告収入分配をやめるって小耳にはさんだので、さっそくグーグルで調べたんですよ。そしたら、まあ、ウワサはほんとだったんだけど、衝撃はそのとき訪れた。
グーグルって、ワード入力して検索したら、「他の人はこれらもいっしょに検索してます」みたいなのがいくつか出てくるじゃないですか。そのなかに「ノベルピア 怪しい」ってのがあったんですよね。ああ、怪しくなってきたよねって思って、なにげにそれをポチったら、なんと、一番上に僕の『ノベルピアというサイト』が出てきたじゃないですか!
ああ……だからかぁ。このエピソードばっかり、やたら読まれるの。外部からのお客さんが多かったんだ。
これは作品中のサブタイトルがグーグルの検索にひっかかったからみたいだ。
つまり、タイトルにそのとき流行してる真っ最中の作品名とよく似たやつをつけとくと、検索でひろわれる可能性がある。間違ってちょっと飛んでくる人はいるかもしれない。
ここでこういうこと書くと、「よし、それだー!」と、さっそくその方法使う人もいるんだろうな。なんか、ランキング上げとかPV増やすのに人生賭けてるみたいな人たち、いますもんね。
それをやれば読まれるとわかってはいても、僕は自作でそれはやりたくない。だって、プライドがありますから。たとえばですが、自分の作品に『進撃の巨人像』とか『鳥葬のフリーランス』とかつけたくないじゃないですか! 『ショショの絶妙な冒険』とかさ。『仏滅の刃』とか。なんなら、『薬師のたわごと』とかさ。ははは……。
もうね。こういうとこが天邪鬼なんだなと。世の中で流行ってるものは、あえてさけて通るタイプなんですよ。似てるとか言われるのは、むしろ屈辱。
なので、誰かとかぶりそうかなと思ったら、新作書く前にネットで調べます。
『八重咲探偵の怪奇譚』って書いてたんですが、これ、書き始めのころは似たタイトルのなかったんですよね。ところが二、三年たったころに、カクヨムでやけに〇〇奇譚、〇〇奇談、〇〇の怪奇譚みたいなのが目立ってきたので、ウンザリして、今の『宇宙は青蘭の夢をみる』に変えました。これなら誰ともかぶらないだろう。しかも内容にあってるし。最後まで読むとタイトルの意味がわかるやつです。
とにかく、安易に誰かが使ってるのと同じと思われるのがイヤ。
そう言えば、この前、近況ノートで、こんなの読みました。上記で参考にあげた有名作品(どれかはナイショ)のパクりじゃないかって読者に言われて怒ってるんですね。
「たしかに〇〇(作品名)は大好きだし、なんなら技なんかあえて似せてるんだから、似てるのはあたりまえ。だけど、ストーリーは違うんだから、アイデアだけの模倣ならパクりじゃない。これはオマージュにすぎない。オマージュとパクりは違う」と言ってたんですけど……。
僕は違うと思うなぁ。
「誰だって他の人の作品にインスピレーションを受けることはある。というか、今書かれてるものなんて、みんなそうなんだから」と言ってたけど、インスパイアと盗用は違うよ。
たしかに他の人の作品からインスピレーション受けることはある。『宇宙は青蘭の夢をみる』じたい、おおもとの発想は手塚治虫さんの『どろろ』みたいな話を書きたいと思ったことなので。このへんは宙夢のあとがきに書いてるけど、内容はまったく似ても似つかないものになってます。当然です。どろろ、読んだことないので。
「この作品が好き!」だからと言って、アイデアをそのまま使うのはダメ。それは盗作ではないかもしれないけど、盗用ではある。
「相手の文章をそのままコピペしたわけでもないし、盗作じゃない」と言いはっておられましたからね。もちろん、コピペや引用はカクヨムでは即刻削除。もしかすると垢BANされる可能性あり。だけど、アイデアの盗用も運営が認めたら、作品バンはされますよ? バンされた人の近況ノートを何度か読んだ。
「〇〇なんて作品まったく読んだこともないのに、たまたま設定が似てたからって、誰かに通報されたらしく作品バンされた。悔しい」とかね。
なので、前述の人は運営に知られたら、作品削除される可能性はあります。二次創作に該当するとか言われて。つまり、二次創作は著作権法で言えばグレーなんですよ。作者の許可なく書いちゃダメ。
何度も言いますが、「こんな作品を書きたい!」と思ったとしても、自分のなかで影響された元作品をちゃんと消化して、違う形に焼きなおさないといけません。それはアイデアであっても、設定の一部であっても、です。読者が元話に気がつかないほど華麗に変身させられたらよし。羽化ですよね。イモムシと蝶が同じ生物だとは思えない形をしてる。そのくらい変わればオッケー。やつら、サナギのなかでイモムシのときの体、溶かすらしいですからね。
それほど変転したものなら「この作品は何かの影響を受けましたか?」と聞かれたとき、「〇〇にインスパイアされました」と堂々と言っていい。
ところで、グールゲームの改稿作業してました。そのついでにアレコレやってるんですが、ある案を思いついたんですよ。めっちゃいい案なんですが、「あれ? もしかして、これって、東京グール(漢字で候補に出てこない)とかぶる?」と、ふと心配になりました。というのも、東京グールも読んだことないから! でも有名な作品なのでタイトルはさすがに知ってた。それと、昔、フォロワーさんから主役が拷問受けるよって話だけ聞いてたんですよね。
かぶってたら使えないので、心配になってネットで調べてみました。いいですね。最近はまとめサイトみたいなのいっぱいあるから、作品じたい読まなくても、あらすじを完結まで書いてるとこがあった。
安心しました。ぜんぜん違ってた。僕のはグールと言っても人間だし、あくまで薬品のせいだしな。能力使って戦いあったりもしない。頭脳戦。
そもそもグールにしたのは、ゾンビ作品はたくさんあるから、というだけの理由なんですよね。最初に思いついたときはゾンビウィルス+デスゲームでした。
えーと、何が言いたいかというと、めっちゃいい案でも人の作品とかぶってるなら、悔し泣きしながらでも捨てよう、です。他人と同じもの書いてもしょうがないじゃないか!
だって、そんなのコンテストに出したからって、どこの編集者さんが「よし。これ、〇〇にそっくりだな。うちで本にしよう。〇〇人気のおこぼれで売れるかも」なんて思ってくれますか?
たしか、今回のカクヨムコン前に、求めてる作品について編集者のインタビュー載せてたけど、そこでも言われてましたよ?
「〇〇みたいな作品はいらない」って。
僕は性格的にもともと他人とは違う道を行きたがる。なので、そのぶん、オリジナリティ強く、かつ面白い作品を作ることにこだわってきた。
カクヨムでも僕の同士は見かける。近況ノートでね。「新作のネタ思いついたけど、調べたら〇〇ってアニメ化までされた作品と設定が激似だった。めっちゃ面白い作品になるのわかってたから悔しいけど、ここまで似てるなら自分が書く意味ないんで、やめることにした」というようなノート、何度か見ました。
あえて人とは反対の道を選ぶ。それもときには大事なこと。
とくにコンテストですよね。たとえばですが、前回、五回めの最恐大賞で僕がデスゲーム系で受賞しました。で、今年、六回めがいつもより早く募集されたんですが(すでに〆切終わってます)、そのなかでデスゲーム作品をいくつか見受けたんですね。
でも、考えてみてください。前回がデスゲームだったんですよ? 二年連続でデスゲームをとってくれると思いますか? それも、前回の総評読めば、僕の作品でさえ「デスゲームは昔からある古くさいジャンルだから、選ぶのには勇気がいった」と書かれてるのにですよ?
そしたら、じゃあ、次に受賞するのはデスゲーム以外だな、と思うじゃないですか。そういう作戦のとこで、前回とは逆を行かないといけないですよね。
そもそも、僕がデスゲームにしたのは、その前の総評に「村ホラーばっかり受賞してるけど、ほんとは別のタイプも欲しいんですよ」と書かれてたから。ある意味、作戦勝ちなんです。
他人のしないことをあえてする。そういう思考が書き手には必要になってくるのかなぁと。
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