第13話 発想法(パクりはダメだ)2
ほんとは発想法について書きたいのに、なかなか、そこにたどりつけない。
前回、パクりについて書いたけど、たまたま似てしまうぐうぜん、というのも世の中にはあって、これが話をややこしくしてますよね。
人間の考えることなんて、しょせんは似通ってるんだから、どうしても同じ発想をしてしまう人はいるし、そうして、たまたま同じ時期にぐうぜん、似たような作品が世に出ることは、なきにしもあらず。
前に、当時交流してた人に、僕が書いたある作品に対して、「タイトルと冒頭だけ読んだんですが、もしかしたら、内容が僕の『〇〇』って作品とかぶってるかもしれません。たまたまなので、もしパクりだとか思われたらイヤなので、あらかじめお断りしておきます。僕のほうの作品もすでに完結まで書いてます」みたいなコメントをもらったことがある。僕もちょうど、そのかたの『〇〇』ってその作品を読ませてもらってたんですが、個人的には「絶対、同じにはならない」って自信がありました。何しろ、僕の作品がそんな予想のつく終わりかたするわけないので。案の定、おたがいに最後まで読んで、こっちは「ほら、違う」だし、相手は「すいません。まったく僕の思いもよらない展開でした。ぜんぜん違う話でしたね」という結果に。
けっきょく、このかたはクローンを内容に使ってるかどうかで悩まれてたんですが、クローンなら、テンプレだからね。両方にクローンが出てたとしても、それはぐうぜんだったと言えるでしょう。ストーリー展開も設定もジャンルもまったく異なるので、もとよりパクりだとかは思わないていどの類似性しかないんです。僕のはホラーだし、そのかたのは純愛がらみのミステリーだし。
これと似たような件で、ほかの人からクレームをもらったことも一回あります。
僕の短編を読んだある人が、「これにそっくりな話、つい最近、自分が書いたんですけど?」みたいな。要するに、僕がパクったんじゃないですかと言いたいらしい。
まったく交流のない人だったし、とつぜんのコメントにこっちはビックリですよね。
なので、その人が主張する作品を読んでみたら、そっくりも何も、その人が言うのは、「瞬間移動(だったかなぁ? SFのなんかだったのはたしかだけど、もう忘れた)」を使ってるという点が似てるというだけのことなんですよ。おたがいに妄コンに出した短編だったはずだし、そりゃテーマも同じだから、似てくるよね。でも、ストーリーはぜんぜん別物でした。
これ、難癖としか言いようがないですよね?
だって、今どき、瞬間移動(だったか、タイムワープだったか、その手の誰もが知ってるSF用語とそれに付随する現象)なら、テンプレだよ? みんなが使ってることを使ったって文句言われたって、それ、あなたの著作権じゃないよね?
この作品はたしかに、その人のほうが僕より数日早く書いてた。
ただし、それならこっちも主張したい。じつは、その人が難癖つけてくる数日前に、僕はその人が書いた別作品に対して、「あれ? この前、僕が書いたのと似たような話だ」と思ったんですよ。タイトルを見て、まさか、またパクりか? と思って読んでみたら、まあ内容は違うみたいだったので、ぐうぜんSF好きだから似てしまったのか……と納得したのでした。ちなみに公開したのは僕がさき。
というのも、両方の作品に使われてたのが、タイムマシンだったから! これは覚えてる。僕の作品が『悪魔を滅する ただひとつの方法』だったことまで覚えてる。やっぱり人間、自分に対する防衛本能のほうが強いんですね。
だからと言って、「あんた、タイムマシン使ってるよね? 僕のパクりだよね?」とは、僕はよう言わんとです。←急に使いなれない博多弁……。
だって、そんなのこれまで何万人という人が使い古してきたネタじゃないですか。タイムマシン。
それと同等レベルのクレームだったんですよね。
なので、こっちがやんわりと「同じSF好きだから、内容がぐうぜん似てしまったんじゃないですか?」と返したら、それっきり、何も言ってきませんでした。ご本人が納得したかどうかは知りません。
そういえば、この作者さんとはよっぽど趣味が似てるらしくて、その後まもなく、ジゴロ探偵のなかで『輪廻の力学』というのを書いたんですよ。五万字ていどの中編。エブリスタ内のイベントに出すためだったと思う。
ちなみにこれの発想は、どこから始まったかと言うと、世界丸見えテレビ特捜部を見てたとき、チベットかなんかで前世を記憶してるという少年の話があったんです。「あ、これ、使えるな。前世の記憶がある少年を狙って殺人未遂が起きて、それをワレスさんが解決するって話。輪廻がほんとにあるかないかが焦点だな」と、そのとき考えました。
で、それを連載してる途中だったかなんだかに、その作者さんも輪廻を題材にしたSF作品を公開されてたんです……どんだけ、発想法似てるんだ、と思いました。たぶん、これもぐうぜんなんでしょうね。というか、その人も丸見え見てた可能性が高い。作品は読んでないので、中身は知りませんが。
テレビなど、誰もが見ることのできるものから案を得ると、ぐうぜん似てしまう危険性がある、という話でした。
でも、僕は別にこの作者さんに対しては何も思ってないですね。あちらがどうかは知りませんが。
似た趣味を持ってる人が同じ刺激を受けると、思いつくものも似てしまう。それはもうどうしようもないです。
世の中でぐうぜん似てしまう不幸っていうのは、こういうことなんでしょうね。
なので、たまたま似てしまったものに対して、とった、とられた、パクった、パクらない、おれがさきだ、いや最初に考えてたのは十年前だからこっちがさきだ、と言いあったところで不毛なんです。だって、それは似てしまっただけで、パクりじゃないから。
しいて言えば、誰にも思いつかないような奇抜な発想をするしかない!(いっきにハードル高く……)
まあ、なので、もしも、ぐうぜん似てしまったのかな?
という作品を見つけても、「パクっただろ? 絶対とっただろ? おれのがさきなんだよ、あーん?」と、闇雲に突っ走るのはひかえたほうがいいです。
大切なのは、ほんとに悪意を持って(またはリスペクトで)盗られたものなのか、ぐうぜん似てしまったのか、見きわめる力なのかなと。それによって対処法は大きく変わるし、本人の心持ちも違ってきます。
ほとんどすべてのパターンのパクりをされたことのある作者としては、ただ似ているものと、明確に「盗られた」と感じる作品は、ハッキリとした違いがあります。それだけは言っておきます。
パクられた作品は、それはもうひとめで「盗られたな」とわかるので。
あまりにも同じなんですよね。ストーリーにしろ、設定の一部にしろ、まんま、使いまわされてる。似てるんじゃなく、同じ。
それも、オリジナルな部分にかぎって盗られるので「この発想がぐうぜん他人とかぶるとは思えない」という確信があるんですよね。
えーと、今回は何が言いたいかと言うと、ぐうぜん似てしまったものに対しては寛容な態度で接しましょう。
もし、逆に自分が誰かの作品と似たものを書いていたと気づいたら、直せる範囲で直したほうがいいです。名前とか、設定の一部なら直しようがある。自分の思いついたオリジナルからはちょっと変わるかもですが、だって、誰かと似てる作品なんて書いてて楽しくないじゃないですか。
僕はそういう人間です。
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