第11話 オリジナリティが(も、ではない。が)大事だぞ



 さて、あれこれ書いてきたけど、だいたい、自分の言いたいことは言いきったかな?


 公募に挑戦してる書き手さんたちに言いたいのは、一回ずつの結果なんかに惑わせられるな!——って、ひとことですね。


 ちなみに、ここの書きかたも、ほんとは『惑わせられるな! ——』でないといけない。感嘆符のあとなのでスペースいる。前に短編アンソロジーのとき直されました。けど、ここはねぇ。なんか、空間が気になるんですよ……なんだろ?


 あるていどの技術力が身についたら、あとは運だから。それと、分析力。


 ずっと前に、まだエブリスタで、『これから書きはじめる、あなたへ』という、初心者向けの創作論というか、小説の書きかたエッセイを公開したんですよ。これは僕の東堂兄弟シリーズをいつも読んでくださってた、とある読者さまが、「この作品を読んだら、わたしもこんな話が書きたいと思いました!」と言われた。

 じゃあというわけで、初心者が知っとくといいよってコツをですね。書きました。それこそ、三点リーダは二つが基本ですよ、みたいなことを。


 おおむね好評だったんですが、そのなかで、一件だけ、あきらかに敵意をこめたコメントが送られてきました。ハッキリ覚えてないけど、


「へぇ。作家に必要な資質は、てっきり〇〇と〇〇とセンス(センスだけ覚えてる)だと思ってましたよ。〇〇〇〇あたりのYouTubeでも見たほうがいいよ? ビックリするから」みたいな感じ。


 なんか僕が本文のなかで、作家に必要な資質は三つ。〇〇と〇〇と〇〇です(〇〇がなんだったか、もう忘れた。努力はどっかにあった)って書いてたことへのあてつけだったんですよね。〇〇〇〇のなかには人名が入りました。作家の名前だったんだろうけど、悪いね。僕の知らない人だったよ。あてつけたいなら、せめて、もうちょい有名な人にしてくれ。


「これは初心者向けに書いたものですから。書籍化めざす人むけに必要なのは、〇〇と〇〇と〇〇だと思います」と返しました。〇〇のなかは完全に忘れました(*⁰▿⁰*)てへっ


 なんかそれに対して、

「ああ、初心者向けだって忘れてましたよ。なんとかかんとか」と、また不遜な答えが返ってきたんですけどね。YouTubeの話はここだったかも。よう覚えとらんです。記憶力いいことを売りにしてるわりに、どうでもいいと自分が思うと、けっこうキレイに忘れるw


 で、その人のプロフを見ると、自分はもう書籍化作家にはなれないとわかった。あきらめたけど、まだあのころの夢がくすぶってて、こんな場所をウロついてる、とか、なんとかかんとか……書いてあった。


 挫折した人が腹いせに、調子に乗ったへたっぴ(に見えたんだろうな)に八つ当たりしてきたらしい。このころ、ちょうど僕は妄コンで常連になったり、ジゴロ探偵の一作で佳作になったり(執筆応援イベント)、妬ましかったんだろう。へへっ。←強メンタル。


「あっ、そ。言っとけば」でブロック(本人に言ったわけじゃないです。心のなかでね)して、おしまい。まともに相手するだけバカらしい。


 あっ、このエピソードのために1200字も使ってしまった! いやいや。書きたかったのは、書籍化作家に必要な三つの要素は、少しの才能と運とコネだと思う——って書きたかっただけ。それだけ。


 そのときの人には、少しの才能と努力と運って書いたはず。でも、内心はコネだって思ってた。編集者から作家になる人、一時期、多かったんですよ。あと、昔は賞じゃなく出版社への持ちこみで編集者さんと仲よくなって、そのコネで書籍化してもらう人とか。菊地秀行さん持ち込みですね。心霊探偵八雲の作者さんとか(おーい、名前ぇ)は仲よくなってコネ。ご本人が本のあとがきに書いてた。

 僕はねぇ。東京まで行って持ちこみとか、やる気力がなかった。そこできる人はスゴイなぁと思う。


 えっとぉ……なんか、話題が脱線しまくる。


 たしかそのとき、心のなかで吐いた罵声は「〇〇〇〇にどんだけ心酔してるか知らないけど、誰かを参考にしてる時点で、あんたはオリジナルにはなれないんだよ」だった。


 ははは……こういうエッセイ書いてる人の言うことじゃない?

 いや、書きかたとか、データとか、成功例とか失敗例とか、ほかの人のやりかたを見て参考にするのはいいんです。


 ただ、どうしてもマネできないし、誰にも教えられないとこがあるじゃないですか。

 それこそが、作家として、もっとも必要かつ重要なもの。

 つまり、オリジナリティ。独創性ですよね。そして、独創的な作品を作り続ける発想力。


 文章力とか構成力、そんなのはあとから磨ける。いくらでも練習できる。

 でも、発想力だけはどうにもしようがない……?


 うーん。僕はそれも訓練できると思うんですけどね。ただ、これだけは「こうしたら上達しますよ」っていうメソッドがないんですよ。


 僕が脳をだまして楽しく書き続けてるように、脳科学的には想像力も使い続けることで向上できる、と思ってます。


 じっさいに長年、書き続けた僕が、まったくネタつきないのもそのせいかなと。

 だからって、毎日、何か思いつくわけじゃない。やっぱり、誰もが言うように『降りてくる』瞬間はあるわけで。


 その降りてくるきっかけをもらいやすくできるんじゃないかと。(あるいは、降りてきたものを種としてとっといて、必要なときにふくらませる技を)


 たとえば、僕の発想法は、テレビ見てるときとかに、アナウンサーが言った一言から妄想する。ニュースなど番組の内容から妄想する。番組で特集されてるもの(キノコとか、靴とか、終活とか、なんでも)で妄想する。本を読んで、そのなかの一文(その作品のキモではないです! まったく無関係のちょっとした一文。設定に使われてる重要な要素はいただきません。たとえば、作中で季節の移りかわりを描写してる一文とか、そういうのです。歌詞のワンフレーズからの妄想に近いかも)を読んで妄想。


 あっ、全部、妄想だ!

 そう。日々、妄想してる。

 お気に入りのキャラクターは「こういうシチュエーションに追いこんでみたい。ひひひ」とか、「ああいうセリフを言わせてみよう」とかだけでストーリーが作れる。


 パンツァーになれたのも、たくさん書いて慣れたから。脳科学。脳は鍛えるとその能力に特化していく。

 人間国宝とか、年を重ねるほどにスゴイ作品を作る工芸作家さんとか、絵描きさんとか、職人技の人たちと同じだなと。

 感覚的に体得する。


 なので、日々の小さな妄想を大事にしてれば、妄想と妄想をつなげて、誰にも思いつかないような作品に仕上げることだってできるはず。


 細かい技術的なことは『カクヨムロイヤルティでお小遣いを稼ごう』のなかにアレコレ書いてますんで、このエッセイのなかではもういいでしょ。


 たとえば、発想力を鍛えるために、三題噺の短編をたくさん書くのもいいね、とか。具体的な案も書いてます。


 ここでは、感覚だよねって話で。

 僕が感覚的に書いてるだけなのか? あくまで論理で書いてる人もいるんだろうな。

 書きやすいスタイルはみんな違うし、どれが正解で、どれが間違いってことはない。ただ、自分にあったスタイルを見つけられるかどうか。

 長く続けられるのは、それだけの違いなんだと思います。


 ちなみに今、書籍化作家になるために必要な三つの要素はと聞かれたら、「運と分析力と、楽しんで書き続けること」かな?


 それも、じつは人によって違ったりして。その人にとっての三大要素が、きっとどこかにある。

 自分にとっての三つはコレだってのが見つかったら、その人は強い。


 ただ一つだけ言えるのは、「書かないことには始まらない」

 それにつきるかなと。




 了

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