第5話 運の尽きが回ってきたか

雨が天から滴る日


「はぁ〜……なんかもう、はぁぁぁ…」


今日も今日とて朝から大きな声がその空間を彩る。


「どうしたの?ため息なんかついて。

幸せ逃げちゃうよ。」


私がそう言うと


「もうとっくに逃げてんだよ!!

とっさのとっくになぁ!!!!」


かなでは大きな声で答えた。

その声は教室を駆け巡り、落ち着いた。


「…どした?何があった?」


「どうしたもこうしたもないよ!朝からずっとアンラッキーなんだって!」


「へぇ〜。例えばどんな?」


そう聞くとかなでは少し考え込こみ、

答えた。


「う〜んと…。朝起きて牛乳飲もうとしたら、下に穴が空いていてこぼれるし。」


「わぁ。大変。」


「靴はいて家出て数分しか経ってないのにすぐほどけるし。しかも何回も!」


「あらまぁ。嫌ね。」


「しかもだよ!?気分変えようと思ってイヤホン取り出したらめっちゃ絡まってるし!」


「あららぁ。」


「ねぇ!さっきから聞いてる!?適当にしか反応しないじゃん!」


「聞いてるよ。ていうかもとより私ずっとそんなんでしょ?」


「う〜ん。それもそうか。確かに。」


「でしょ?あと聞くの面倒くさくなってきたからダイジェストで言ってくんない?」


「ぐぎぎぎ…。…ふう、よし分かった。

あとはねぇ。

ICカードをタッチしたはずなのに締め出されたり。

コンタクトがゴロゴロしたり。

電車のエアコン バチ当たるとこに

なったり。しかもめっちゃ寒い。

雨で靴がびしょ濡れになったり。

人の指している傘に付いている雨が私の方に落ちてきて濡れたり。

車が通ったとこに水たまりがあってぇ♡それがバチボコにかかったりぃ♡

ビショビショの靴で廊下歩いたらぁ♡、

盛大にスベり散らかしたりぃ♡

もう散々だよ!!!!」


私は彼女に降りかかる不憫が予想以上に多くて、絶句したがなんとかフォローしようとした。


「…まぁ、そんなに運がないってことは運気を今集めてるってことだと思うから。

気にしなくていいと思う。」


「すな氏…フォローをありがとよ。

感謝はしてやるぞ。」


「なんで上からなんだ。」


「だってぇ〜もうなんかぁ。

世界終わってる。」


「いや、急に規模デカ。その規模で考えているのか。逆にすごいと思う。」


「でも逆にそのくらいしないと気持ちが持たないもん!無理!」


「…運気が悪いときはいつもと違うことをすれば良いと思う。例えば風水だと、不用品や汚い部屋には運が来ないらしい。だから、断捨離したり、部屋の掃除をしてみるのも良いと思う。」


「だれの部屋が汚いねん!全然違うし!…まぁでも掃除はありだな…。やるだけでも、気持ちがぱぁーとするし。やってみるわ!」


「うん、わかった。

じゃあもうこの話終わりね。」


私はそう言ってこの話を終わらせた。

最終的にかえでの気分を変えることが出来て良かったと思う。


外から聞こえる雨の音聴いて、空気が湿気に覆われた。

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