第4話 意外にも正統派?

夏に入りかけ、少しずつ暑くなってきた頃。中間があと少しのとこまで迫っていた。


「あぁ〜もう、あとちょっとでテスト来ちゃうじゃん!嫌すぎぃぃ!」


楓は頭を抱えて、ほざいている。

朝から響く不協和音は日常になっていた。


「朝から元気だね。楓。」


私がそう言うと


「まぁ〜ねぇ。ここが私の取り柄だからねぇ。」


「違うわ。うるさいってこと。」


さっきまで自信満々だった顔が

みるみる驚いた顔に変わっていった。


「えぇ〜!うそ!?そんなにうるさかったのかぁ。ごめんよぉ〜。」


「全然大丈夫。そこまで気にしてない。

…あっ、今思い出したんだけど。」


「ん?どした〜?」


「いや、入学式のとき新入生代表で文言読んでたし。勉強出来るんじゃないの?」


そう聞くと、かえでは考えるようにして黙り込んでしまった。


「…まぁ、そうなんだけどさぁ〜。ていうか元々勉強嫌いだし、受験の為にやってただけたし?まぁ、受かったから良いけど!」


「そうなんだ。まぁあと数日だし。お互いに最善を尽くしましょう。」


「了〜解!」


ーーーーーーーテスト返却日ーーーーーーー


やっと学生にとっての嫌なことが終わり、多くの学生が遊びほうけていく頃。


「ふっふーん、点数どんな感じ〜?ちなみに私は結構高いぞぉ〜。」


「…………」


「おぉ〜なんだぁ?もしかして点数が低すぎて言えないんじゃないだろうなぁ(笑)」


(はぁ…)


「……100が2枚、99が2枚、98が1枚の合計496点になりました。」


「は、は、はぁぁ〜!?ほぼカンストじゃん!ヤバすぎだろ…引くわぁ…」


「いや、引くなよ。でっ?そっちはどうなの?」


「…465だけど…」


「そう。高いじゃん。良かったね。」


私がそう言うと

小型犬のようにキャンキャン鳴き出した。


「いやいやいや、嫌味ですかぁ〜?その点数の人に言われても嬉しくないです!」


「点数は関係ないと思う。

あくまで点数は自分が頑張った数値だから気にしなくて良いと思う。」


「世の中にはね、すなちゃん。数字に取り憑かれてる人だっているんだよぉぉ?分かってくれるかい?」


「さぁ?分かんない。」


「いや、なんでやね〜ん!わかりんしゃ〜い!」


あまり理解してないすなに対して、オーバー気味のツッコミを放ったかえでだった。


大きな声は教室中を呼応し、空気を凍らせたかえでは急速に顔を紅くしながら話を続けた。


「…良い、ツッコミだったと思う。」


「やかましいわ!」


かえでのツッコミは騒然としたクラス中の声に掻き消された。


「…っていうかさ。すなって世間知らずというか。天然なとこあるよね?まぁかわいいから許すけど。」


「そう?そんなことないと思うけど。逆にかえでは、調子乗ってるように見えて真面目たよね。」


「それは褒めているのか、けなしているのかどっちかにせい。でもまぁありがと。」


かえでは少し顔を紅く染める程度には照れていた。


二人は、まだそんなに月日は経ってないがお互いに分かることも増えた。


「…まぁとにかくお互いテスト頑張ったし、どっかテキトーにどっか店に入って。

中間お疲れ様会でも開催しちゃおうぜ!」


「うん。良いよ。やってみたい。」


「オッケー。決まりね!

いやぁ〜帰りが楽しみだなぁ。」


二人を包む騒音は、彼女たちに干渉せず二人の世界で話していた。

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