家出
「よし、彼氏の許可貰ったし本人に伝えて決行だな。」
早くね?早いに越したことないけど決行早くね?
「あれだぞ、準備に入るだけだ。半年はかかるだろうな。いくら金積んでも流石に研究所造るのには」
半年後玲歌はどのくらいの状態なのだろうか……俺にはわからない。でも、任せるしかない。
「俺はそれまで何かすることはありますか?玲歌のためなら俺はなんでもします。」
「ほんと玲歌玲歌うるさいなお前。あれだあれ研究所にぶちこむのに上手いこと転院するってことにするけど、お前俺のこと監視したいんだろ?だったらどうやって家を出るか考えろ。」
転院した玲歌について行くなんてわけわからんこと聞き入れてもらえないもんな……
あれから俺は考えた。玲歌と過ごすために、あの男を監視するために、どうやって家から出るか。考えに考えに考えた。何も思いつかなかった。
3か月が過ぎた……
「あんた、受験生なのに土日ずっと居ないとかふざけないで!いい加減にしなさい!」
あの男から話をされた日からちょうど3か月くらいした頃、俺は怒られた。受験生なのにお見舞いと言って遊びに行っていると思ったみたいだ。
「俺はいつもいつも玲歌のお見舞いに行っているんだ!」
「お見舞いだろうと勉強しないでいるあんたはおかしいんだよ」
俺は玲歌に会うことが否定されると思わなかった。流石に理解されていると思っていた。
「玲歌、玲歌って玲歌ちゃんのことばっかり話して息子ながら気持ち悪い。あの子どうせ長くないんだから別の人と付き合えばいいじゃないの!」
玲歌はほぼ家族だったろ……もう何を言っているんだ?俺は、俺は、俺は、
「玲歌がいなきゃ俺は生きていけない……」
「玲歌ちゃんのことより実の家族を大切にしなさい!血の繋がってない人なんか!」
もう俺はここに居たくない。
「知るか!俺はあんたらより玲歌を優先する。幼い頃から一緒だから家族と同じなんだよ。そして愛し合っている。俺は玲歌が1番なんだよ。」
そう言って部屋に閉じこもった。これから出かけようとしたら何されるかわからない。せっかくの休日なのに玲歌に会えないなんて……嫌いだ……
次の日家出をした。
「玲歌〜来たぞー」
俺は毎日お見舞いに通うようになった。
あの公園で野宿すれば良いと気づいて家出してから1週間が過ぎた。
流石に進級直前に研究所の話されて、それからどうやって家を出るか考える時間が必要だった分今までより勉強の時間は減っていた。でも、成績は落ちていない。それなのに怒られりゃ腹も立つし玲歌を悪く言われたら縁を切りたくなる。
梅雨の時期に家出するとかジメジメしていて嫌だがあんな家にいるよりマシだ。
嫁は肉体にいる 星耕雨読 @sei_hentai
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