玲歌遠くへ

 玲歌が転院すると聞いた時には驚きはなかったが悲しみがあった。

 毎日見舞いに行っててもわかるくらい病状が良くならず悪化する一方。酷い貧血や痺れなどで動けない日もあるくらいだ。

 隣県の大学病院だそう。これじゃ毎日見舞いに行けないじゃないか。


 玲歌を担当したいと言う医師が現れたそうで新人だが海外で飛び級するくらいの実力者だそう。娘がいて、嫁さんはあのうるさい看護師だそう。世の中わからないなぁ。


 担当したい医師こそ将来的に信用できる人間になる兄さんだった。

 あの後、玲歌についての話をして会うためにリハビリしていたから普通のリハビリ以上のを平気でこなしていたことを話したら玲歌に興味をもったそうだ。

 病気についてだからお前からとったりしない。それこそ治してやる。そう言って去っていった兄さんはカッコよかった。


 俺は平日玲歌に会えない……そのことで鬱になりそうだった。顔は悪くないのでここぞとばかりに女子にアプローチされたが、玲歌以外は皆可愛くない。マドンナだ、高嶺の花だ、なんだそれ?たまに告白されるが片っ端から振る。そりゃこちとら彼女持ちだぞ。愛する玲歌に敵うと思うな阿婆擦れ。

 俺が人気の女子に塩対応な上、高嶺の花の告白をばっさりと断ったせいで、妬まれいじめてくる奴がいた。

 そりゃむかつくし、平日は玲歌に会えないのでストレスマックスだった。

 うざいのでわざと校舎裏に呼び出されることにした。

 2、3人の相手かなぁと思い行くと、10人くらいいた。

 あれ?後ろの方に高嶺の花いるじゃん。あいつがこいつらのボスかよ。花は花でもトリカブトかチョウセンアサガオか何かか?

 さすがにそんな大人数は相手にできないので比較的狭い場所まで誘導して数人ずつしばいた。こちとら玲歌を守るために日々鍛えてるんだぞ!

 野郎どもが片付いた頃にはトリカブトは腰を抜かしていた。

「あんた!そんなに強いとか聞いてないし!私の告白を断る男なんかいるわけないのに、いるわけないのになんでよ!消してやろうとしても無理だったし……そんなに玲歌とか言うブスがいいわけ?」

「あ?もう一回言ってみろよ……雑魚どもは最近会えないストレス発散に使ったけどよ、お前ストレス発散に使えないどころか俺をイライラさせる……消していいか?」

 少し脅した。高嶺の花(トリカブトか何か)をぶん殴ったらさすがに学校中が敵になる。ただ今の状況を皆に見せればこいつは高嶺の花からその辺の雑草になる。

「今俺が大声で叫んだらどうなるかな?大勢の人間がくたばっているこの状況。あんたもこれにかかわっているとなると、評判落ちるだろ?これからは一切かかわるな」


 俺は玲歌がいないと問題児になるようだ。(玲歌がいても玲歌のことばかりで問題児なのは気づいていない)

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