人間肝心な時に都合悪くなるよね
兄さんと別れて今日のドロップアイテムを換金した。500円……前より高いからいいか……
「ただいま玲歌……」
手を合わせる。今日は兄さんにあったこと、ゴブリンに追いかけられた事を話した。
プルルルル。電話だ。番号を見る。兄さん!
「もしもし、兄さんどうしたんですか?」
「わりい、娘が熱出したから来週くらいまでダンジョン付き合えないわ。」
「俺なんかに電話する暇あったら見ててあげてくださいよ。そんなんだから臭い言われるんですから。でも、気にしてくれてありがとう。」
「すまねえな!それじゃ面倒見るからサラダバー」
兄さんとダンジョンに潜れないだと……飯は諦めよう。どうせ明日は玲歌の月命日だし、花を買って墓参りに行かなきゃだし……買う金ないじゃん!どうすれば。
俺は飯、風呂を終わらせて寝るだけになっても解決策を思いつかない……。
花を手にいれるにも近所の花は腹減った時に食べてしまったし、買う金はない……あ、今日ダンジョンでゴブリンをおびき寄せた場所に生えていた花がキレイだった。それを採ってくればいい!幸いにもおびき寄せた場所は1階層でも入り口に近い場所だし。そうと決まれば早く供えたいし、早起きしてダンジョン潜らなきゃ。
俺は明日の予定を決めてすぐに寝た。
玲歌ぁ玲歌ぁ玲歌ぁ
行かないでくれ玲歌。愛してる玲歌。玲歌。会いたいよ玲歌。君を早くみたいよ玲歌。抱きしめたいよ玲歌……
玲歌を失い、また失う。夢だからこそ失った人間をまた失うという現実じゃありえないことが起きる。それがあまりにも悪夢でしかない。
俺は水を飲み汗を拭いた。
1時間しか寝れていない。玲歌に会えるのは夢の中。玲歌を失いつづけるのも夢の中。玲歌に会うことが悲しみにつながるというジレンマが俺を不眠にさせる。
流石に寝れないほうだったから体の疲れも抜けきっていない。この状態でダンジョンに潜るなど自殺行為に等しいと言われるだろうが、玲歌に供える花に妥協などしてはいられない。花を手に入れつつ食費を稼ぎたかったが、花だけにしよう。水で1日くらい腹は満たされるし。
寝れなかったので早朝からダンジョンに潜る。
ゴブリンなどは無視して進む。流石に全ては無視できないので倒しつつだが。
全速力で進むとすぐにたどり着いた。
昨日は戦闘で周りをしっかりと見れなかったが、透き通るような水と朝露に濡れたような花々が光を放っていてとても美しい。ここがダンジョンだとは思えない。
特に美しい花を見つけた。様々な色があるが細かい花これは菊だ。
お供えにはもってこいの花じゃないか!たまにはいいこともあるんだな。
そう思いダンジョンを後にした。ゴブリンを相手にしていたら汚れてしまうので先程よりも繊細に移動した。
ダンジョンを出ると朝日が昇っていた。太陽が眩しい。徹夜したあとのように眩しすぎて鬱陶しい感覚だ。闇のほうがステキと歌いたくなるくらいには鬱陶しい。玲歌の墓参りをしたらそのあとは、寝れないだろうけど昼寝をするか。
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まだまだ連続投稿続きます。投稿時間の一覧は公式Twitterで。https://x.com/kakuyomimo/status/1708924287699288447?s=46
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