兄さんの嘘つき
「ぎゃぁぁぁ」
俺たちは逃げた。モンスターの群れが俺たちを無視しない。ゴブリンがなぜ無視しないんだよ!
「兄さん嘘ついただろ!」
俺は兄さんにキレた。
「知らねえよ!俺の時はゴブリンなんか反応したことないっての」
「ならなんで俺たちが追われてるんだよ!」
絶対兄さんが何か企んでる。俺は兄さんを疑うしかない。だって俺に心当たりが一切ない。
「お前、高魔力のアイテムとか持ってないよな?魔力強すぎると雑魚も無視しないぞ。」
「それを先に言えよ兄さん!俺なんだかんだで高魔力のアイテムあるんだから!」
お互いに文句を言うこと10分、二階層に着いた。
「はぁはぁはぁ」「ゼェゼェゼェ」
「「疲れた〜」」
俺は次から師匠に会う時以外指輪外そう……
散歩を当てにすることを辞め、地道に進んだ。
「お前高魔力のアイテム持ってるならそれ売ればいいだろ?」
もっともだ、普通なら高魔力のアイテムは安くても10万は下らない。しかしこれは修行に必要だから無理だ……
「これが無いと、玲歌と会うきっかけさえ無くなるんです。」
「そりゃ何百万出されても売らないなwただ、今度来る時は外せよ?俺らの実力じゃ秒で死ぬ。」
「そらそうよ、おーん。」
それからも追ってくるゴブリンを地形を利用し一対一にしたり、一定の空間の場所におびき寄せて一薙ぎで数体を一気に倒したりを繰り返した。流石にゴブリンを何十体と相手にしたら疲れる。
汚れないようにしていても汚れるが、加速のローブはすごい……汚れがあまりつかない。風の噂によると洗うと新品同様になるそうだ。ちなみに近くにいた兄さんはゴブリンの返り血塗れで汚れていて臭い。
「兄さん、今日は回復薬諦めて帰りましょう。俺、戦うの無理ですよ。それに兄さん汚れがやばいことになってますよ。こりゃ姉さんにマジギレされますねw」
姉さん……元気してるかな。俺と玲歌の時兄さんと姉さんには世話になった。姉さんは兄さんの暴走を止めるのメインだったけど助かった。
「辞めてくれ。最近5歳になった娘がパパ臭いとか言うんだぞ……もう反抗期か?嫁に行くのか?うぁぁぁ」
兄さんが壊れた。マッドの癖にやることやって学生結婚した人が壊れていないわけないか。兄さんと姉さんは夫婦で俺と玲歌の時には3歳の娘と会えないのが寂しいと嘆いていたもんな。
「兄さん大丈夫ですよ。俺みたいに幼馴染がいるわけじゃなければ結婚のけの字もその年じゃ出ませんよ」
「そうだな。てか、俺くっさ!これで帰ったらパパ臭いのレベルじゃなくなる。ダンジョン近くの銭湯で体洗うのと、ダンジョン探索者向けの服買うしかねえ。こりゃ嫁に怒られるな……」
兄さん……強く生きてくれ。俺はそんなことにならない夫婦になるから。
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