兄さん
「おーい。刃ー。」
この声は!薬師寺の兄さんか!?
「兄さん!お久しぶりです。お元気でしたか?」
「よお、刃。久々だな。アレ以来か?」
「そうですね、僕が幼馴染を生き返らせたいから、ダンジョンへは18からしか入れないから代わりに入ってと泣きついた以来ですね……」
あれは、黒歴史だ。それだけ信頼できる大人?がいなかったのは確かだ。この人は大人というより兄貴という感じだから違うかも知れないが。
「もしかして兄さんが警察に説明してくれたんですか?」
「そうだぞ、なんか急いで警察来て特徴がお前過ぎる人間を探していたから話聞いたんだ。そしたらダンジョンに行く行って逃げたって話で驚いたぞ。玲歌絡みでのことなんだろうけどな。警察にはこいつはダンジョンで大切な彼女を治す薬を手に入れたくて焦っていた。多分学校行けないのは急いで手に入れないと間に合わないからだと思います。自分も彼を待っているんで。ということにしといた。だいたい合っているだろ?唯一違うのはお前が探しているのは治すどころか生き返らせる物だけどな。」
兄さんすげえ。警察相手に推測でしかないのにまるで俺から話を聞いているかのように対応してくれていた。
「兄さんすごいっす。ありがとうございます。でもなんで俺が玲歌のことで急いでたってわかるんですか?」
兄さんは呆気に取られた様子で話し出した。
「お前な、お前の優先順位が、玲歌>>>>>>>>>自分やその他なんだから玲歌関係でダンジョンへ向かっているってそりゃ泣きつくぐらいこだわってたんだから玲歌のことだろうよ。」
兄さんには全てバレてたか。
「それにしてもなんで兄さんいるんですか?」
兄さんは病気の研究などを幅広くやっている天才なのだ。ただ倫理観に問題があってよく研究所を追い出されるけど。
「もしかしてまた、人間にちゃんと治験していない薬を試そうとしたんですか?」
平気でやる。俺は玲歌をこいつの魔の手から何度守ったか。倫理観さえあれば完璧で究極の……なんだけどな。
「いやいや違う違う。俺はな、お前の考えに共感したんだ。」
俺の考え?玲歌を生き返らせるってことか?研究結果のためなら命を結構粗末に扱う兄さんが?変な物食ったんじゃなかろうか……。
「お前、失礼なこと考えているだろ。伊達に半年以上観察していないんだからな。」
「俺はな、お前がダンジョンに生き返らせるアイテムを求めるように俺は回復薬に魅力を感じた。西洋も東洋でもない新しい医学だ!今医者と研究者は回復薬が流通していないことと、保身で精一杯だ。そこで俺とお前が組んで回復する物を俺に融通してくれ。生き返らせるアイテムをドロップするモンスターなんて回復関係のモンスターっぽいし、手に入るだろ?」
確かにそうだ。回復アイテムが他の人に同行するより手に入りやすいと思う。だが、俺は雑魚だ。そして回復アイテムでどうにか生活費を稼がにゃならんのよ!
「あ〜これは回復系の売って金にしたいって顔だな?ダンジョンに入れるようになって少し、背負っている立派な武器。そこから導き出される結論は『金欠!!!』。安心しろ。タダで寄越せと言っていない。相場の倍出すから。それにお前が入れない間俺は暇な時にダンジョンを散歩していた。道案内にもうってつけだぞ〜。」
心を読むし、魅力的な提案をするがウザい。これが兄さん。この手法で俺の玲歌は何度救われたか。マッドだけど俺からしたら尊敬する兄さんなんだよなぁ。
「散歩ってwほんと、天恵が散歩とかいう戦闘向きじゃなさすぎるどころか使えるのかわからんやつで頭一緒に抱えましたもんね。」
俺が泣きついた時、何か責任を感じたような表情を見せた兄さんはダンジョンに入ってくれた。秒で出てきたけど。理由が散歩とかいう何に使えば良いのかわからない天恵のせいだ。兄さんは何回かダンジョンで使っていたみたいだが使い物になるのかこれ?
「散歩は意外と使えるぞ。散歩は隠密ほど気配を消せないが、その分集中力がいらない。ザコが全然寄って来ないから階層の探索にうってつけなんだ。一度歩いた道を忘れないしな。」
「そんな便利な天恵ならなぜ皆使わないんですか?」
「だって初めの方のザコくらいしか無視してくれないんだもん。」
兄さんが眉をハの字にして遠くを見つめてしまった。なんか、申し訳なくなった。
「でも、ザコは素通りできるなら俺の目的地まですぐいけるかも知れません!」
これなら回復薬を素早く手に入れられるかもしれない。数日回収すれば兄さんは満足するだろうし、俺は1カ月くらい生活費稼げればどうにかなる。
よし、これなら兄さんの依頼チャチャっとこなしてあとはダンジョンに潜り続けて強くなることができる。
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読んでくださりありがとうございます。
このキャラ即退場させるつもりだったはずが、書くうちに面白くなってこのキャラメインのスピンオフ作品書いても良いなと思っています。
連続投稿中ですので次もぜひ読んでくださると嬉しいです。
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