退学か、謹慎か
帰宅し、玲歌に手を合わせる。
ちょうど今日の報告が終わった頃、学校から電話が来た。
「刃君。私担任の佐藤です。学校の正式な刃君への処分について決まりました。」
退学だろうなぁ。玲歌ごめんな……。その分時間できるから早く会えるね!
「まずは停学です。これは問題を起こした生徒にやるやつです。次にあなたが殴った安藤先生は、あなたが指輪を外して学校に来るなら許すと言うことでした。」
また指輪かよ……俺と玲歌の繋がりなのに……
「そして、職員会議をしました。指輪の件は本人の精神の安定剤になっている部分もあるために結論が出なかったです。というか禁止以外の結論は出せないですが。その結論になると刃君が学校をやめてしまうと先生達の中での認識です。」
「それと、安藤先生は外せと仰っていますが、このご時世なので最近着任したカウンセリングの先生が断固として反対して結論が出ないのです。結論が出なければ黙認しても良いのでは?と2人以外の共通認識です。結論が出ないから禁止されていない。しかし、違反は違反のため精神的に指輪に依存しなくなったら外す約束はしてください。」
先生方俺をこんなに心配してくれてたのか……俺は玲歌を失ってから下関に会うまで、ずっと1人だと思っていたし、下関が優しくしてくれても大人は皆腫れ物扱いで俺のこと考えてくれていないと思っていた……。
気づいたら涙が出ていた。もう少し頼ってもいいのかな?玲歌と2人で住むと決めた時からほぼ絶縁状態の両親の代わりに頼ってもいいのかな?俺1人じゃないのか……
玲歌……。俺もう少し周りに頼ってもいいか?玲歌ごめんな。玲歌は俺と触れ合えないのに俺は他の人と話をすることを許してほしい。
「先生、ありがとうございます。俺、もう少し先生方を頼ってもいいですか?佐藤先生が俺の指輪の件ですごく説得してくださってたのを知っていたのに、心を開けなかった自分が恥ずかしく思います。本当にありがとうございます。そしてすみませんでした。指輪はどうしても必要ですが、玲歌絡みで喧嘩や揉め事を起こさないようにします。それを玲歌も求めていると思うんで。」
「刃君先生今すごく嬉しいです。泣いてますよほんと号泣です。もっと先生を頼ってくださいね。力になれることならなんでもしますから。大切な人を失うことはとても辛いですが、周りにはそれがわからない人がいます。今まで暴力でそれを解決していたかもしれませんが、これからは我慢して友達や先生に相談してください。」
あったかい……。玲歌との生活の時にいつも感じていた心が温かくなる幸せに近い。まあ、玲歌には敵わないが。
「それと、カウンセリングの先生が一度話してみたいそうです。」
「カウンセリングですか?」
「はい、カウンセリングです。やはり今までの行動などから精神的に問題があるのを放って置けないので、一度話してみたいそうです。」
「そういうことならわかりました。こんなに心配してくれる人がいたんですね。」
「あ、言い忘れるところでしたが、停学期間は1週間だそうです。本当は自宅謹慎で外にも出るな!としたいですが一人暮らしですし、指示したところでダンジョンに行ってその件でまた呼び出しになりそうなので上手いことやっときましたよ。」
「先生ありがとうございます。全てが終わったら、玲歌との婚姻届の保証人になって欲しいくらいです。」
もう、一番頼っていい大人だよな先生。玲歌を生き返らせたら玲歌と共に感謝の言葉を伝えよう。
「婚姻届!?私独身なのに教え子に先越されるどころか保証人!?処分重くしますよ!嫌なら変なこと言わないか、良い男紹介してください!」
あ、先生独身なの地雷だったわ……。
「あ、きっといい出会いがありますよ!では自分は水道水を公園から運ぶ仕事があるんで失礼します。」
これでよし。あのままだと愚痴聞かされそうだったから切るタイミングとしてはベストだったな。
帰宅したら水道代払うの忘れてて水道が出ない!払うも金ない!となり、仕方なく公園に水を汲みに行くところで電話が来たのだ。
よし水を運んで汗を落として寝るか……
信用できる大人がいると知れたからか4時間寝れた。一番良くて4時間だったことを考えたらスッキリした目覚めだ。
停学ばんざーい!!!
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読んでくださりありがとうございます。
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