クラスメイト
「ごめんみんな。迷惑かけた。」
俺はクラスメイトに謝った。頭に血が登ったとはいえ、暴力沙汰になるところだった。下関が止めてくれ、女子達が後輩をなだめてくれたことで事なきを得た。それにクラスメイトはある程度理解してくれている。俺の玲歌への思いとダンジョンへ潜る意図を。
「そしてありがとう。」
これが俺ができる最大限の誠意だった。
空腹で憂鬱だった俺はとにかく憂鬱を極めていた。
「おい刃。お前のこと応援しているから元気だせよ!どうせまた栄養摂れるやつばっか食ってるんだろ?俺の弁当分けてやるよ!」
いつもだったら栄養摂れるやつ舐めんなよ!とふざけてじゃれるが空腹じゃ仕方ない。
「ありがとう!実は昨日からその栄養摂れるやつ4本しか食べてなかったんだ……。」
「おいおいそりゃどうした?親からの最低限の生活費でさえ消えたのか?虐待だ虐待。」
「違う違う。ダンジョンに必要な武器で今まで貯めていたお金と生活費すべてつぎ込んだ。ドロップアイテムで食費くらい稼げると思ったが300円だった……栄養摂れるやつ4本しか買えなかったよ……」
下関は呆れた様子で頭を抱えて何も言わなくなった。無言で弁当を渡してきた。この優しさが少し申し訳ないが腹が減ったらどうたらこうたらだから食べてダンジョンに向かうしかない。
「ありがとう!この礼はいつか返す!」
授業中に隠れて飯を食いバレて怒られつつ放課後になった。
下関に弁当箱を返し全速力でダンジョンへ向かう。ゴブリンはレアドロップ率が高いがレアドロップが肝という臭すぎるある意味ハズレなのだ。臭すぎるから誰も拾わず放置されそこで戦闘がおきるの繰り返しでとにかくゴブリンが湧く場所は汚い。
「どうせならゴブリンじゃなくて先のモンスター倒すかな。」
俺は基本中の基本であるゴブリンを倒しまくってスキルを入手するという方法を無視した。ゴブリンレベリングは汚くなった装備を捨てる必要があるため金欠の俺には無理だ。せっかくのローブが汚れたら嫌だしな。ゴブリンの臭い以外は落ちるし先に行こう。この選択が未来を変えた。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます